[I-OR20-04] 小児先天性心疾患手術後患者におけるICU-AW発症状況とその関連因子の検討
キーワード:ICU-AW, 先天性心疾患, 心臓血管外科手術後
【背景】筋力低下を主体とした機能障害であるICU-AW(Intensive Care Unit Acquired Weakness)は、小児先天性心疾患手術後にも多くの患者で発症している可能性が高いことが指摘されているが詳細は不明である。【目的】小児先天性心疾患手術後患者のICU-AWの発症状況とそのリスク因子について調査すること。【対象と方法】2015年1月から2017年12月までに心臓血管外科手術を受けた先天性心疾患患者201例(平均年齢3歳1ヵ月)。診療録より、患者情報、手術状況、手術後経過などを後方視的に調査し、診断基準に従ってICU-AWを判定するとともにICU-AW群(AW群)と非ICU-AW群(N群)の2群に分けて比較検討した。なお、中枢神経障害を有するもの、新生児症例は除外した。【結果】ICU-AWと判定できたのは201例のうち50例(24.9%)であった。手術時間(AW群 vs. N群:中央値377.5分 vs. 269分)、人工心肺時間(中央値206分 vs. 128分)、筋弛緩薬投与期間(中央値5.5日 vs. 1日)、人工呼吸器装着期間(中央値9.5日 vs. 1日)、Aristotle Basic Complexity(ABC)Levels(中央値3 vs. 2)はAW群で有意に高値であり(p<0.01)、AW群において人工透析使用例、開胸管理例、一酸化窒素使用例、ECMO使用例が有意に多かった(p<0.01)。多変量解析の結果、人工呼吸器装着期間(オッズ比1.95[95%CI: 1.50-2.54], p=0.001)、ABC Levels(オッズ比4.13[95%CI: 1.58-10.78], p=0.004)がICU-AW発症に関連していた。【まとめ】小児先天性心疾患手術後患者の約25%にICU-AWを認めた。発症率ならびにリスク因子は成人例の報告と同様の結果であったが、小児先天性心疾患においては背景心疾患も関連していた。