[I-OR21-01] Berlin Heart EXCORから離脱した乳児特発性拡張型心筋症の1例
Keywords:拡張型心筋症, 補助人工心臓, 心筋症
【背景】拡張型心筋症(DCM)の一部に長期の補助人工心臓装着下で心機能が回復する症例があるものの、小児DCMにおける補助人工心臓離脱の報告は少ない。【症例】母方いとこにDCMの家族歴がある女児。乳児健診では異常指摘されず。生後9ヶ月に急性心不全で発症しECMO管理を要したが3日後に離脱。心筋逸脱酵素上昇なくGd造影MRIで心筋炎所見認めず特発性DCMと診断。10ヶ月時にはカテコラミン投与下でBNP 1672pg/mlまで改善。Carvedilol、Pimobendan開始も心不全症状改善なく、カテコラミンは中止できず。11ヶ月時に感染契機に心不全増悪(BNP 3631pg/ml)しCarvedilol中止を余儀なくされた。心移植適応と考えられ当院へ転院。【入院後経過】転院時(11ヶ月,体重8kg)LVEF 14%, LVDd 49mm (206% of N), BNP 4522 pg/ml。気管切開による呼吸管理、カテコラミン投与と利尿薬の強化により、安定したところでCarvedilolを再開し0.4mg/kg/dまで漸増、3ヶ月後にはBNP 2000 pg/ml前後まで低下。しかし1歳3ヶ月から(発熱,不穏,冷汗など)心不全症状の増悪見られ、最終的に鎮静薬の中止が困難なことから内科的治療の限界と判断し1歳4ヶ月でEXCORを装着。病理では光顕、電顕ともDCMに合致する所見。装着1ヶ月後にBNP 70 pg/mlまで改善、3ヶ月後にはLVEF 47%, LVDd 29mm(113% of N), BNP 30 pg/mlまで改善。装着3ヶ月間に3回の脳出血のエピソードあり、1歳8ヶ月時に心臓カテーテル検査によるoff pump test施行。CI 4.1L/min/m2, EF 62%と保たれておりEXCORから離脱。離脱3ヶ月後でCI 4.3L/min/m2, LVEDP 3mmHg, EF 58%, LVDd 25mm(95%ofN), BNP 9.8 pg/mlと経過良好。現在離脱後7ヶ月、軽度の左片麻痺あるも、カテコラミンからも離脱しStatus 2として待機中。【結語】乳児DCMの一部の症例では、EXCOR装着により心機能が回復し、離脱が可能となる症例がある。離脱可能症例と不能症例の違いや離脱症例の中長期予後についての検討が必要である。