The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

パネルディスカッション2(I-PD02)
胎児治療最前線:薬物治療/カテーテル治療

Thu. Jul 5, 2018 4:00 PM - 5:30 PM 第1会場 (メインホール)

座長:石井 陽一郎(大阪母子医療センター 小児循環器科)
座長:前野 泰樹(聖マリア病院 新生児科)

[I-PD02-04] 抗SS-A抗体陽性妊娠のステロイド投与について

今岡 のり1, 稲村 昇1, 藤田 富雄2, 夫 律子3, 竹村 司1 (1.近畿大学医学部 小児科学教室, 2.ふじたクリニック, 3.クリフム夫律子マタニティークリニック)

Keywords:経胎盤的ステロイド投与, 】抗SS-A抗体陽性母体胎児, 房室ブロック

【はじめに】抗SS-A抗体陽性母体胎児では、経胎盤的ステロイド投与が房室ブロックの(CHB)予防や心筋炎に対し有効とされている。経胎盤的ステロイド投与によりCHBの進行を予防しえた1例と、胎児心筋炎治療により胎児水腫が改善した1例を経験した。【症例1】母体は27歳、抗SS-A抗体陽性シェーグレン症候群(SjS)。在胎23週よりPR時間が150秒以上に延長し、右室乳頭筋に高エコー領域を認めたが心嚢液や心内膜の肥厚は認めなかった。在胎25週2日よりベタメタゾン4mg/日を開始した。治療開始後PR時間は125秒に短縮したが、右室乳頭筋の高エコー域は変化なかった。出生後はPR時間130秒で経過し、心エコーでEF、RV Tei index、LV Tei indexは正常で右室乳頭筋の高エコー領域を認めたがTRは軽度であった。生下時64倍であった抗SS-A抗体が生後3ヶ月で消失するとともにPR時間は正常化した。【症例2】母体は26歳、胎児徐脈で在胎19週4日に紹介され、抗SS-A抗体陽性SjSと診断された。胎児心拍数は104回/分で洞性徐脈、心嚢液貯留と腹水貯留を認めたが、胎児機能不全はなかった。在胎20週1日よりベタメタゾン4mg/日を開始、胎児心拍数は60~80回/分で経過し、腹水は徐々に減少した。在胎27週より胎児心拍数が50回/分となったが、C.Oは正常でBPS8点で経過した。在胎30週4日BPS2点となり準緊急帝王切開で出生。心拍数50回/分のため生後30分で体外ペースメーカーを装着した。【結語】抗SS-A抗体陽性母体胎児のCHB出現時期は、在胎18~24週とされる。症例1は治療開始が24週だったが、PR時間の短縮を認めCHBの進行を予防できたと考えた。症例2は治療開始後、腹水は減少し、完全房室ブロックには移行しなかった。我々の症例では、経胎盤的ステロイド治療中に重篤な副作用はなく、胎児のCHBへの進行と心筋炎治療に有用と考えられた。