[I-S01-04] 無症状心室性期外収縮・非持続性心室頻拍
キーワード:無症状, 心室性期外収縮 , 非持続性心室頻拍
[背景]学童期にみられる心室性期外収縮 (PVC)/非持続性心室性頻拍 (NSVT)の多くは無症状で、約3-4割は自然消退する。左室収縮能低下合併例は稀で、PVC 50%前後で出現し、治療により速やかに改善する。そのため、多くの症例は治療を必要としない。しかし、学童期無症状PVC/NSVTをみたとき、突然死を来す疾患群 (チャネル病、心筋症、冠動脈疾患)の鑑別が重要である。中でも、運動誘発性PVC/NSVTは不整脈源性右室心筋症を代表とする心筋疾患の病初期をみている可能性がある。しかし、種々の検査でも心筋疾患は同定されず、治療方針・管理に難渋する例が存在する。[症例1];感冒で脈不整を指摘され11歳初診。PVCは単形性、右脚ブロックパターン、上方軸であった。Holter ECGでPVC 0.8%、2連発まで認めた。運動負荷でPVCが誘発。心エコー、加算平均心電図に異常なかった。観察期間中 (2.6年)、運動でNSVT (3連発、coupling interval (CI) 280 ms)が出現し、抗不整脈薬の投与を提案したが、拒否。サッカー部、運動制限なし。[症例2] 学校検診を契機に12歳初診。PVCは単形性、左脚ブロックパターン (LBBB)、下方軸であった。Holter ECGでPVC 2.1%、3連発を認め、Master負荷試験でNSVT (4連発、CI 280 ms)がみられた。心エコー、加算平均心電図に異常なかった。propranolol, flecanide投薬中である。陸上部、運動制限なし。[症例3] 学校検診を契機に13歳初診。PVCは単形性、LBBB、下方軸であった。Holter ECGでPVC 3.9%であった。Treadmill負荷試験でPVCが誘発され、回復期に2連発 (CI 280 ms)が出現。心エコーで、軽度の左室拡大と心尖部収縮能低下を指摘されたが、心臓MRIに異常なかった。flecanide投薬中である。野球部、運動制限なし。[結語];3例、いずれも現在心筋症を示唆する所見はない。運動制限の有無については議論の余地がのこるが、長期的な観察が必要である。