The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム2(I-S02)
肺実質障害を伴った心疾患の呼吸循環管理

Thu. Jul 5, 2018 2:50 PM - 4:20 PM 第2会場 (301)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院 循環器集中治療科)
座長:竹内 宗之(大阪母子医療センター 集中治療科)

[I-S02-01] Fontan患者の周術期呼吸器管理についての検討

阪口 修平, 中野 俊秀, 小田 晋一郎, 藤田 智, 藤本 智子, 岡本 卓也, 満尾 博, 竹本 捷, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:Fontan, 呼吸器, 肺実質障害

肺障害を合併したFontan患者の呼吸器管理について後方視的に検討した。【対象】2007年から2017年に当科でFontan手術を施行した連続291例のうち、呼吸障害に対する再挿管または術後24時間以上の挿管管理を行った18例を対象とした。術後観察期間は中央値5.6年 (最長11年)であった。【結果】連続291例のFontan手術時年齢中央値( 最小‐最大 ) は3.2歳 ( 1.3-15.8 )、体重11.7 kg ( 7.5 -61 )であった。早期死亡1例 ( 0.3% )、遠隔期死亡3例 ( 1% )認めた。早期例の死因はARDS、遠隔期例は急性脳症、感染、消化管出血1例ずつであった。PICU入室時の呼吸器PIPは18 cmH2O ( 10-20 )、PEEP 3 cmH2O ( 0-6 )、CVP 12 mmHg ( 6-20 )であり、全例、人工心肺離脱時からNO吸入を行った。術当日抜管が280例 ( 96% )あり、抜管までの時間は術後56分 ( 0-258 )であった。抜管後も経鼻からNO吸入を行った。呼吸障害の原因は肺実質障害として肺出血4例、肺炎2例、ARDS 1例、その他の原因として無気肺4例、肺高血圧3例、PAVM 1例、その他2例であった。肺実質障害7例において再挿管前SpO2は93% ( 74-99 )、挿管中の最高PIPは20cmH2O ( 12-25 ), 最高PEEP 3cmH2O ( 2-5 ), 最低SpO2 95%( 79-99 )で管理し、挿管期間は1日( 1-8 )であった。無気肺4例の再挿管前SpO2は96.5%( 93-99 )、積極的にdirect suctionを行い1.5日( 0-6 )で抜管した。肺高血圧3例に対しては深鎮静およびNO吸入を行い、2日( 1-4 )で抜管した。PAVM 1例は再挿管前SpO2 59%、挿管2日後にSpO2 76%まで改善し抜管した。長期挿管例におけるFontan手術後死亡はARDSの1例のみであった。【結論】当院でのFontan周術期呼吸器管理の方針は、1)全例NO吸入を行い、術当日に抜管する、2)肺障害を合併した場合でもFontan循環悪化を回避するためPIP, PEEPは比較的低値で管理する、3)無気肺に対しては積極的に再挿管を行い去痰に努めることを基本としている。