第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム4(I-S04)
児童生徒の心臓性突然死ゼロに向けての地域での蘇生対策

2018年7月5日(木) 10:20 〜 11:50 第3会場 (302)

座長:太田 邦雄(金沢大学医薬保健学域医学系 小児科)
座長:三谷 義英(三重大学大学院医学系研究科 小児科学)

[I-S04-03] 日本の児童生徒から若年成人までの院外心停止の最近11年間(2005-15)の蘇生成績:世代別の成績から児童生徒の突然死対策を考える

淀谷 典子, 三谷 義英, 大橋 啓之, 澤田 博文, 早川 豪俊, 平山 雅浩 (三重大学大学院医学系研究科小児科学)

キーワード:心臓性突然死, 心肺蘇生, 自動体外式除細動器

【目的】非家族が目撃した日中の若年者の心臓性院外心停止は、自動体外式除細動器(AED)を用いた蘇生効果が高いとされる。非虚血性心疾患による心臓性院外心停止の発症する35歳以下が、日本の学校心電図検診(1995年から小中高1年生で実施)世代となった。AED導入後の小中高生の日中発症の心臓性院外心停止の蘇生効果は、若年成人に比べて経年的に高いか否かとその因子と年代別心停止数を検討した。【方法】非家族が目撃した日中(6:00-17:59)の若年者(A群: 7-12y、B群:13-18y、C群: 19-22y、D群: 23-35y)の2005-15年に発生した心臓性院外心停止のUtstein登録データ(消防庁の日本全国の悉皆データ)を解析。【成績】対象は、1,646例(A群92例、B群382例、C群229例、D群943例)。Bystander CPR 率(A群81%、B群80%、C群71%、D群68%)、Bystander AED率(A群37%、B群44%、C群24%、D群19%)、全AED率(A群69%、B群85%、C群78%、D群70%)、社会復帰率(A群46%、B群49%、C群39%、D群30%)。D群に比べて、A群、B群は、歴年に関わらず、市民によるAED使用率(p<.001)、社会復帰率(<.001)は良好であった。ロジステイック解析で、女性、bystander AED使用、初期波形(心室細動)、B群は、良好な社会復帰率の独立した因子であった(<.001)。【結論】若年成人に比べて、小中高生ではbystander AED率が経年的に高く、bystander AED使用と中高生年齢(B群)は、予後良好因子であった。学校心電図検診世代に入った若年成人(D群)の遺残心停止リスクに対して、AEDを用いた蘇生効果は中高生がより高かった。世代別の蘇生成績から児童生徒の突然死対策の地域での在り方を考える。