The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム4(I-S04)
児童生徒の心臓性突然死ゼロに向けての地域での蘇生対策

Thu. Jul 5, 2018 10:20 AM - 11:50 AM 第3会場 (302)

座長:太田 邦雄(金沢大学医薬保健学域医学系 小児科)
座長:三谷 義英(三重大学大学院医学系研究科 小児科学)

[I-S04-04] 学校における心停止対応策の現状と課題:尼崎市におけるアンケート調査から

西内 辰也1, 山上 雄司2, 稲熊 洸太郎3, 豊田 直樹3, 石原 温子3, 坂崎 尚徳3, 吉永 孝之1 (1.兵庫県立尼崎総合医療センター ER総合診療科, 2.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児救急集中治療科, 3.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科)

Keywords:学校, 心停止, シミュレーション

【背景】学校は心肺蘇生法の「教育の場」であると同時に「実践の場」となりうる。2017年に尼崎市内の中学校で発生した心停止事例を契機に、同市の学校における心停止対応策について養護教諭を中心に危機感が高まりつつある。【目的】学校における心停止対策の現状と課題を明らかにすること。【方法】院内倫理委員会承認の上、尼崎市内の学校74校の養護教諭宛にアンケート調査票を郵送し、無記名にて回答を依頼した。【結果】アンケート回収率は62%(46/74校):小学校26校、中学校11校、高等学校7校、中等教育学校・特別支援学校各1校。過去3年間の教職員対象の心肺蘇生法講習会実施率は44校(96%)、自校の75%以上の教職員が講習会受講済みと回答した学校は35校(76%)。一方、心停止を想定したマニュアルを整備している学校は25校(60%)で、想定訓練を実施している学校は16校(38%)。過去5年間に2校で自校敷地内において心停止が発生していた。【考察】個人スキル習得のための心肺蘇生法講習会の実施率・受講率は高いものの、心停止に備えたマニュアル作成率ならびにチームダイナミクス習得を目的とした想定訓練実施率は低い。米国のCardiac Emergency Response Plans for Schools(CERP)では心肺蘇生法習得に加え、養護教諭や体育系教諭を中心とした心肺蘇生チームの創設、地域消防機関との連携、想定訓練の実施が推奨されている。心停止を経験した2校は心肺蘇生法の習得のみならず学校・消防機関・医療機関の三機関合同での想定訓練実施の必要性を指摘しており、尼崎市では三機関合同で学校における心停止を想定したシミュレーショントレーニングを開発し2017年1月より実施することとなった。【結論】アンケート調査より学校における心停止対策には心肺蘇生法習得に加え三機関合同での想定訓練実施が必要であることが示唆された。今後は日本版CERPの開発が望まれる。