第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム4(I-S04)
児童生徒の心臓性突然死ゼロに向けての地域での蘇生対策

2018年7月5日(木) 10:20 〜 11:50 第3会場 (302)

座長:太田 邦雄(金沢大学医薬保健学域医学系 小児科)
座長:三谷 義英(三重大学大学院医学系研究科 小児科学)

[I-S04-06] 学校救急体制におけるチームによる連携シミュレーションの重要性

檜垣 高史1,2, 高田 秀実1,2, 太田 雅明2, 森谷 友造2, 渡部 竜助2, 宮田 豊寿2, 高橋 昌志1,2, 伊藤 敏恭2, 浦田 啓陽2, 岩田 はるか2, 石井 榮一1,2 (1.愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学, 2.愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学)

キーワード:学校救急, 突然死, シミュレーション

【背景および目的】学校現場において子どもたちを突然死から守るためには、学校心臓病検診の精度の向上と、5分以内の除細動をめざすためには、各学校に3~4台のAEDの複数設置が必要であり、救命例も含めてその有効性をすでに報告してきた。緊急時にAEDをより有効に用いるためには、事故を想定したシミュレーションが重要であり、学校現場での取り組みについて検討し報告する。【対象】松山市のすべての小・中学校【方法】仮想事故現場を、運動場または特別教室などに設定して、教職員によってシミュレーションを施行し、その時の問題点や改善点などについて検討した。シミュレーションは応急手当普及員の研修を受けている養護教諭を中心に企画し施行した。学校によっては、生徒も参加した。チェック項目を、認識、応援の依頼、119番通報(実際に通報訓練)、AEDの手配、胸骨圧迫、呼吸、AEDの操作、蘇生の確認、周辺の安全などについて評価した。【結果】シミュレーションの結果、明らかになった問題点や課題は、死線期呼吸についての理解、救急隊からの支持の受け方、救急車の誘導・救急隊の誘導において、学校のレイアウトによっては、業者の車両が駐車していたりすると救急車が侵入できないなど、できるだけ中断しない胸骨圧迫、その他の生徒の安全確保や二次災害への配慮が必要なこと、緊急時の教職員の役割分担についてなどであった。実際にシミュレーションすることによって初めて気が付くことが多くあることを改めて認識した。【考察および結語】学校救急体制の充実を目指すためには、胸骨圧迫とAEDを中心とする講習から、チームによる連携トレーニングに発展させることが重要である。小児循環器医は、専門家として蘇生教育に携わっていく必要がある。