第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム5(I-S05)
New imaging technology -小児心臓病への臨床応用-

2018年7月5日(木) 15:40 〜 17:10 第5会場 (304)

座長:板谷 慶一(京都府立医科大学外科学教室 心臓血管外科学部門)
座長:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器小児科)

[I-S05-01] State of Art: 小児循環器領域の画像診断の革新と治療成績向上への期待

瀧聞 浄宏 (長野県立こども病院 循環器小児科)

画像診断の進歩は、先天性心疾患の外科治療、カテーテル治療、内科治療のすべてにおいて大きく貢献している。米国心エコー学会からは2014年にファロー術後、2016年にはTGAに対するmultimodality imagingによるアプローチのガイドラインが相次いで出ており、心エコー(TTE、TTE)、MRI、CTのそれぞれの活用の重要性を示している。
最新の3D心エコーでは、先天性心疾患の複雑な房室弁や心室中隔欠損の詳細な形態評価を可能にし、3Dスペックルトラッキングは今後の心臓同期不全など局所壁運動評価に期待をいだかせる結果が出つつある。MDCTでは、大血管の構造を正確に診断し、Arch形成などの外科的介入に重要な役割担っているのはもちろん、MDCTの3D再構築モデルは進化し続け、良好な手術シムレーションを可能にしている。3DエコーやMDCT再構築はいずれも、その技術が広く応用、さらに簡易な再構築や作成方法が開発されれば、手術などの治療介入に汎用されるようになるのは間違いない。また、MRIは、計測方法の進化で3D心室容量計測、血流量の評価、心筋の質的評価では本来のゴールデンスタンダードの地位を築いているのは、当然のことであるが、流体の解析によるエネルギー状態の変化を渦やエネルギーロスなどを用いて考察することが可能となってきた。予後や手術法に繋がるかどうかはまだ不明な点が多いが、今後大いにブレークスルーを期待させる。さらに、カテーテルアブレーションの分野では、ガイドに用いる3Dマッピングシステムは驚くべき進化をとげ、カテーテルの接触力(コンタクトフォース)や圧の方向が、技術によって可視化される、X線による透視時間も削減されるというメリットを生んでいる。先天性心疾患の不整脈治療においてもその進歩を享受している、これら画像診断のinnovationへの理解と臨床現場における活用は、これからの小児循環器医に不可欠である。