[I-YB01-01] Deep Learning を用いたArtificial Intelligenceによる心電図診断の試み~より精度の高い心電図検診を目指して~
Keywords:心電図, 学校検診, 人工知能
【背景・目的】心房中隔欠損症(ASD)など学校検診における心電図診断が重要な疾患がある。近年、artificial intelligence (AI)による機械学習はDeep Learningを用いた手法により情報の”特徴量”の抽出が可能になってきたことからその応用の範疇は飛躍的に広がっている。先天性心疾患の心電図診断にAIを用いた報告はない。本検討ではAIによる心電図判読のプログラムを独自に作成しその診断性能を検討。今後の心電図判読に活用可能かを評価する。【方法】検討1:Tensorflowを用いて9層(Convolutional Neural Network; CNN)を含んだ学習モデルを独自に構築。正常心、ASDの12誘導心電図を学習させ、20枚の心電図に関して精度確認を行った。小児循環器医11名によっても同様の心電図判定を実施しその精度(正答率、偽陽性率、偽陰性率)を比較した。検討2: 同様のCNNモデルを用いて正常心、ASD、動脈管開存症、WPW症候群に関して機械学習を実施し、各群40例を判定させその正答率、偽陽性率、偽陰性率を検討した。【結果】結果1: AIの判定では正答率 96%、小児循環器医の平均正答率 61.4%であった。偽陽性率はAI 0%、小児循環器医15.0%、偽陰性率はAI 9%、小児循環器医 28.6%であった。結果2: 正常と3疾患の判別においてAIによる正答率は145/160(91%)で、偽陽性率 0%、偽陰性率4.3%であった。【考察・結論】AIを用いた心電図判読は小児循環器医よりも高い診断水準を有している。AIでは心電図から”所見”ではなく”疾患”の判定が正確にできることから、正常心と疾患では心電図上現在小児循環器科医が認識できていない”疾患特有の特徴量”が潜んでおり、AIを用いることで疾患の新たな心電図上の特徴抽出が期待される。さらに偽陽性率・偽陰性率ともに低いことから、より効率的な検診に寄与できる可能性が高い。