第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ミニシンポジウム(多領域専門職部門)

ミニシンポジウム(多領域専門職部門)(II-MIS01)
先天性心疾患における機械的循環(呼吸)補助の適応と実際

2018年7月6日(金) 16:40 〜 17:40 第6会場 (411+412)

座長:長嶋 光樹(東京女子医科大学 心臓血管外科)
座長:南 茂(大阪大学医学部附属病院 医療技術部臨床工学部門)

[II-MIS01-01] 先天性心疾患例におけるECMO管理の検討

盤井 成光, 石丸 和彦, 山内 早苗, 久呉 洋介, 長谷川 然, 三輪 晃士, 川田 博昭 (大阪母子医療センター 心臓血管外科)

キーワード:先天性心疾患, ECMO, 抗凝固療法

【背景・目的】小児の補助体外循環(ECMO)は、抗凝固療法などの管理に注意を要する。当院では2013年4月にECMO回路とその管理方法を変更した。今回、先天性心疾患例におけるECMO管理を検討した。【対象・方法】2005年1月から2017年12月までに、当院でECMO補助を要した40例を対象とし、2013年4月で前期群(9例)と後期群(31例)に分けて比較検討した。前期はECMO回路としてEmersaveを用い、活性化全血凝固時間(ACT)目標値は200秒とし、ECMO装着直後から抗凝固薬投与を行った。後期はEndumo2000を用い、ACT目標値は160~180秒とし、ECMO装着後6時間以降に凝固線溶系が正常化してから抗凝固薬投与を行った。また後期は送脱血管の側枝を使用したシャント回路を作成し、ポンプ・人工肺への血流量を患者側流量の約1.5倍に増加させ血栓形成予防を行った。さらに後期は積極的に頚部ECMOへの移行を行った。患者背景は単心室疾患が前期5例(56%)、後期13例(42%)で、ECMO導入時月齢が前期2±1ヵ月、後期7±7ヵ月、体重は前期4.0±1.0kg、後期4.6±2.0kgであった。【結果】ECMO稼働日数は、前期6±1日 vs 後期11±10日と後期が有意に長かった(p=0.03)。回路交換を要したのは、前期7例(78%)(のべ10回) vs後期14例(45%)(のべ23回)で、それらの1回路あたりの稼働日数は前期3±1日vs後期7±4日と後期で有意に長かった(p<0.01)。ECMO離脱率は前期67% vs後期90%で、30日生存率は前期67% vs後期81%と有意差はなかったが、後期で良好であった。ECMO中の開胸止血処置回数はECMO稼働日数あたりで前期0.4±0.5回/日vs後期0.1±0.1回/日と差はなかったが、脳・肺・消化管等の臓器出血eventは前期5例(56%) vs後期3例(10%)で、後期で有意に少なかった(p<0.01)。【まとめ】当院における先天性心疾患例に対する現行のECMO管理法では、安定した長期稼働日数が得られ、臓器出血eventも減少し、良好なECMO離脱率および30日生存率が得られている。