[II-MOR09-02] 胎児診断された静脈管欠損19例の検討
キーワード:静脈管欠損, 胎児診断, 予後
背景:静脈管欠損は胎児スクリーニングにおいて比較的多く遭遇する先天異常である。胎児水腫や胎児心不全など胎児循環動態に影響を与えるとされている。また、心疾患を含む様々な先天異常との合併も報告されている。しかしながら、多数例の報告は少ない現状がある。今回我々は、胎児診断スクリーニング中に発見された静脈管欠損症例ついて検討したので報告する対象:2008年から2017年の10年に経験した静脈管欠損19例である。方法:胎児診断週数、合併奇形、側副血行路の有無と場所、胎児水腫や胎児心不全の合併、出生後の経過の診療録から後方視的に検討した。結果:胎児診断週数の平均は28週(21-36週)、合併奇形は心血管奇形10例(TA, IAA, PS, HLGS, VSDなど、一定の傾向なし)、心外奇形8例、,染色体異常2例(21trisomy, 18 trisomy)、奇形症候群(Noonan 2例、femoral hypoplastic-usual fecies syndrome)。門脈系と体静脈系の間に側副血管を認めた症例は6例(SVC 3, IVC 4)。出生後までフォローできた16例中、2例で胎児死亡、3例で新生児死亡、11例は生存している。考察:静脈管欠損は胎児スクリーニングの過程でルーチーンに観察されるようになり、静脈管欠損を主訴に紹介される症例が増加している。また、様々な先天異常に合併することも多く、胎児精査の過程で診断される症例も増加している。従来の数例の症例報告が多く、静脈管欠損の全体像は明らかでなかった。今回は一施設で10年間19例の症例を集約することができた。従来の報告通り、基礎疾患は多岐にわたっていた。従来は、門脈系と体静脈系の間に側副血管を合併する症例の報告が多数をしめていたが、今回の報告では、側副血管のない症例が多数を占めた。また、胎児水腫や循環不全を認めた症例はなかった。結語:静脈管欠損の19例を報告した。従来の報告とは異なる点も多く、今後の症例集積が必要と考えられる。