[II-MOR09-04] 肺動脈狭窄を伴う先天性心疾患への出生後治療介入と出生前予測の検討
キーワード:先天性心疾患, 肺動脈狭窄, 胎児診断
【背景】肺動脈狭窄を合併する先天性心疾患の新生児治療は、動脈管依存性や外科的介入の必要性により変化する。出生直後より治療介入の必要があれば循環器専門病院での管理が必要となる。【目的】肺動脈狭窄を疑う先天性心疾患の胎児心臓超音波検査計測から、出生後治療介入の必要性の有無を明らかにすること。【対象・方法】2007年から2017年に胎児心臓超音波検査を行い、肺動脈狭窄を疑われた胎児61例を対象とした。胎児計測と出生後臨床経過を後方視的に検討した。【結果】胎児心臓超音波検査を在胎33.2週で施行し、在胎38.6週、体重2826.6gで出生した。肺動脈閉鎖例、心室中隔欠損を有さない例、重度肺静脈狭窄例は検討から除外した。心疾患内訳はファロー四徴24例、単心室13例、両大血管右室起始10例、三尖弁閉鎖7例、大血管転位6例、心室中隔欠損1例で、出生後肺血流維持のため、PGE1を使用した症例は13例(21. 3%)であった。初回入院中にBTシャントを必要としたのは16例(26.2%)で、介入日齢は7-79日(中央値33)であった。BTシャントを要した群(B群)は、不要であった群(NB群)と比較して肺動脈弁輪径/大動脈弁輪径比(PVD/AVD)が小さく(0.53±0.14 vs 0.77±0.14; p<0. 01)、肺動脈血流速度が高値であった(1.5±0.3 vs 1.1±0.4m/s; p<0.01)。動脈管逆流を認めた症例はB群で多かった(2.2% vs 66.7%; p<0.01)。ROC曲線を用いたカットオフ値は、PVD/AVD 0.56以下(感度97.8%、特異度62.5%)、肺動脈血流速度1.4m/s以上(感度82.2%、特異度87.5%)であった。PVD/AVD 0.6以下、肺動脈血流速度1.4m/s以上、動脈管逆行性ありのうち2つ以上を満たす症例であれば、初回入院時BTシャントの必要性を感度87%、特異度100%で予測することできた。【結語】胎児期超音波計測で、肺動脈弁輪径/大動脈弁輪径比、肺動脈血流速度、動脈管逆行血流を計測することで、出生後介入を要する症例を予想し、分娩後管理の一助とすることができる。