[II-MOR10-02] 皮下植込み型除細動器による治療を行った肥大型心筋症の1例
Keywords:肥大型心筋症, 皮下植込み型除細動器, 致死性不整脈
【はじめに】肥大型心筋症(HCM)は病的な心筋肥厚による左室拡張障害を特徴とする心筋疾患で、運動中の失神や突然死が初発症状のことがある。致死的不整脈の既往があれば植込み型除細動器(ICD)が治療として推奨されるが、低侵襲の皮下植込み型除細動器(S-ICD)が本邦でも最近使用できるようになった。今回、自動式体外除細動器(AED)で救命され、S-ICDによる治療を行ったHCMの1小児例を経験したので報告する。【症例】13歳男児、中学1年生。既往歴に特記事項なく、心筋症の家族歴なし。春の学校検診では非抽出。体育のランニング中に倒れ、AED2回で心室細動から洞調律に復帰し、当院に救急搬送された。来院時の意識清明で、明らかな神経学的異常所見なし。心エコーで非対称性の著名な心筋肥厚を認め、肥大型心筋症と診断した。β遮断薬と皮下植込み型除細動器(S-ICD)による治療を実施した。外来経過観察中にT波のダブルカウントによるICD誤作動を1回認めた。【まとめ】S-ICDは従来の経静脈ICDに比べ、低侵襲で植え込みによる合併症も少ないとされているが、スクリーニングとして皮下心電図波形の適合評価を必要とする。安静・運動、臥位・座位でのスクリーニング時評価では特に問題なくとも、心電図波形の経時的変化が予想される症例におけるS-ICD植え込みには注意を要する。