[II-MOR10-05] ゲームセンターで植込み型デバイスが電磁干渉を受けた4歳女児例
キーワード:植え込み型デバイス, 電磁干渉, ホームモニタリングシステム
植え込み型デバイス治療を受けている患者にとって、電子機器が発する通信用の電波や高周波の電磁波ノイズが周囲の電子機器に影響を与える電磁干渉(electromagnetic interference:EMI)は日常生活における重要な問題である。成人においては電磁干渉を避けるための患者指導や日常生活の様々な場面で注意喚起が行われている。一方、小児はEMIに関する報告自体が少ないだけでなく、学校や集団保育など小児特有の生活環境におけるEMIに対する患者指導や注意喚起はほとんど行われていない。我々はゲームセンターで植込み型デバイスがEMIを受けた4歳女児の1例を経験した。症例は4歳女児。生後5ヶ月時に誘引なく自宅で心肺停止となり、7ヶ月時のimplantable cardioverter defibrillator(ICD)植込みを経てcardiac resynchronization therapy implantable cardioverter defibrillator(CRT-D) にアップグレードしてから3年間は除細動の作動なく幼稚園に通園できるほど回復していた。月1回のホームモニタリングシステムの記録でEMIを受けていることに気づき、保護者への聞き取り調査から児がゲームセンター滞在中にEMIを受けたと判断し、注意喚起を行った。小児特有の生活環境における植込み型デバイスへの電磁干渉に対する社会的認知は高いとは言えず、今後さらに増加することが予想される小児のデバイス症例が安心して社会生活を送るため、小児に特有な生活環境への配慮もこれまで以上に必要になると考えられた。