[II-MOR12-03] ファロー四徴症の左室機能低下の顕在化における運動負荷心エコーの有用性
Keywords:ファロー四徴症, 運動負荷心エコー, 左室変形能
【背景】心内修復術後のファロー四徴症(TOF)の左室機能低下は重要な予後規定因子である。また、運動耐容能は先天性心疾患を含む様々な疾患で予後との関連が報告されており、運動負荷時の左室変形能と有意に相関する。【目的】TOF心内修復術後の潜在的な左室機能低下を明らかにするための運動負荷心エコーの有用性を検討する。【方法】TOF群13例(13歳から39歳)および正常対照群13例で、臥位エルゴメーターを用い運動負荷中の超音波を施行した。心拍数100bpmを目標に負荷し、100bpmに達して1分後から5分以内にデータ収集を行った。Vivid E9(GE Healthcare, Milwaukee, WI, USA)を用い、安静時および運動負荷中の心基部、乳頭筋部、心尖部レベルのcircumferential strain(CS)およびlongitudinal strain(LS)、strain rate(SR)、strain rate/strainを内層、中層、外層にて計測し、torsionも計測した。【結果】運動負荷により、正常群ではLVEFおよびRVFACは有意に増加したが、TOF群では有意な増加は認めなかった。Torsionおよび乳頭筋部内層CSは、安静時は両群で有意差はなかったが、運動負荷時TOF群が有意に低値となった。LSは全層において、安静時に有意差はなかったが、運動負荷により正常群が有意に増加し、TOF群は正常群に比較し有意に低値となった。心尖部、乳頭筋部CSRおよびLSRは全層において、運動負荷により正常群とTOF群ともに増加したが、心尖部CSR/CSは全層において、安静時に有意差がなかったのが運動負荷によりTOF群が有意に低下し、正常群に比較し有意に低値となった。乳頭筋部CSR/CSおよびLSR/LSは全層において、TOF群が有意に低下した。【結論】乳頭筋部内層CS、全層LS、torsion、心尖部全層CSR/CSは運動負荷時のみTOF群が正常群に比べ有意に低く、運動負荷心エコーは、安静時では描出されない左室機能低下の顕在化に有用である。