[II-MOR12-04] 乳幼児期TOFの上行大動脈stiffnessに影響を与える因子の検討
Keywords:大動脈血管硬度, pulse wave velocity, TOF
【背景】Fallot四徴症での大動脈中膜組織学的変化は新生児期、乳児期より認められ、遺伝的素因や大動脈の容量負荷により大動脈拡大をきたすと考えられている。しかし、必ずしも全例で問題となるような大動脈拡大をきたすわけではない。血管硬度の指標であるpulse wave velocityの測定は大動脈の組織学的変化による血管硬度を簡易に評価でき、TOFにおける大動脈拡大予測や治療に役立つと考えられる。【方法】未手術TOF、未手術VSD、心内修復術後1年後のTOFの年齢を合わせた乳幼児期の症例で引き抜き圧波形から算出するpulse wave velocity(PWV)を用いて血管硬度を比較した。【結果】平均年齢は未手術0.3±0.11歳、術後1.75±0.26歳であった。体格で補正したaAo径はTOF症例で大きい傾向を示したがVSD症例と比較して有意な差は認めなかった(51.3 vs 43.6 mm/BSA, p=0.1)。体格およびaAoの径および血圧で補正したPWVは、未手術TOFと未手術VSDでは有意な差は認めなかった(p=0.18)。大動脈容量負荷が大きいチアノーゼのあるTOFと左右短絡が大きいpink TOFとで検討してもPWVには有意な差はなかった(p=0.3)。しかし、術後TOFにおいて術前チアノーゼが強かった症例は術前pink TOFだった症例と比べてaAo径はほぼ同等の大きさにも関わらずPWVが高値を示した(p=0.02)。【結論】今回の検討においてTOFの血管硬度は乳児期早期には有意な上昇は示しておらず、チアノーゼや大動脈容量負荷が大きいほど術後の血管硬度が上昇していた。このことは、早期のチアノーゼ、大動脈容量負荷の是正や薬物治療によりその後の血管硬度上昇を予防できる可能性があると考えられた。