The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

会長賞選別

一般口演22(II-OR22)
会長賞選別講演

Fri. Jul 6, 2018 11:00 AM - 11:50 AM 第3会場 (302)

座長:賀藤 均(国立成育医療研究センター)
座長:鈴木 孝明(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)

[II-OR22-05] Impact of FBN1 gene mutation types on the progression of aortic disease in patients with Marfan syndrome

犬塚 亮1, 武田 憲文2, 前村 園子2, 森田 啓行2, 縄田 寛3, 藤田 大司2, 谷口 優樹4, 山内 治雄3, 八木 宏樹2, 平田 陽一郎1 (1.東京大学 小児科, 2.東京大学 循環器内科, 3.東京大学 心臓外科, 4.東京大学 整形外科)

Keywords:マルファン症候群, 遺伝子, 大動脈解離

【背景】マルファン症候群(MFS)の責任遺伝子であるFBN1の変異は、ミスセンス変異を中心とする強制阻害(DN)型とナンセンス変異を中心とするハプロ不全(HI)型の二つに分類され、近年HI型変異が大動脈合併症のハイリスクであることが報告された。遺伝子産物の量的異常を来たすHI型変異は変異の位置に影響されにくいとされる一方で、エクソン24-32など重症な表現型に関連する領域も存在し、MFSにおいてFBN1遺伝子変異と大動脈病変の重症度の関係は未解明な部分が多い。【方法】診療録を後方視的に調査し、2006年から2017年に当院で診療を行ったFBN1変異を有するMFSの患者において、遺伝子型と大動脈イベント(死亡、A型大動脈解離または大動脈基部置換術)の関係についてKaplan Meier解析を行った。遺伝子変異は変異の位置と予測されるアミノ酸変化からDN・HI型に分類した。【結果】患者は248例(内女性120例)で最終診察年齢の中央値は31歳(内20歳未満75例)、97例に大動脈イベントを認めた。20歳未満に大動脈イベントを認めた12例のうちDN型は7例だった。7例のDN型変異の内6例はシステイン残基に影響を与える変異でこれらはエクソン 25-36, 43-49のCa結合EGF様ドメインに局在しており、これをDN-CD型変異、これ以外のDN型変異をDNnonCDと命名した。20歳以上の患者においてもDNCDはDNnonCDに比べて大動脈イベントのリスクが有意に高かった(P<0.001)。患者全体において、DNCD/HI/DNnonCD型の患者(n=28/93/127)のイベント回避年齢の中央値はそれぞれ30/33/52歳で、DNCDと比較した大動脈イベントのハザード比は、HI型で0.51 (P=0.03)、DNnonCD型で0.19 (P<0.001)であった。【結論】MFSにおいて大動脈イベントリスクが比較的低いとされるDN型変異の中に、HI型変異よりさらにリスクの高い一群が同定された。FBN1変異をHI/DNCD/DNnonCDと分類すると、簡便な予後予測・リスク層別化が可能であると考えられた。