[II-OR24-02] 内臓錯位症候群における不整脈発生の検討-多施設研究Isomerhythm Studyより
Keywords:内臓錯位症候群, 不整脈, 多施設検討
【背景】右側相同(RAI)では頻脈性不整脈、左側相同(LAI)では洞不全やAVB等の徐脈性不整脈を呈することがあるが、発生頻度や長期予後に関する報告は少ない。我々は内臓錯位症候群における不整脈発生頻度及びリスク因子について検討したので報告する。 【方法】2000年から16年の間に関東3施設で診療した内臓錯位症候群の患者を対象とした。他院での手術例や心電図等データの不足例は除外した。心奇形、手術、不整脈発生の有無、心電図及び心エコー所見をカルテから抽出した。不整脈診断や発生頻度を検討し、Kaplan-Meier法で発生率を解析した。また、不整脈発生に対するリスク因子の検討を単変量・多変量解析で行った。 【結果】161名が同定され、RAI 110/161 (68%)、LAI 51/161(32%)であった。平均観察期間は47カ月で、死亡例は53名、内不整脈関連死は2名であった。不整脈発生は[LAI 26/51(51%), RAI 36/110(33%);p=0.027]とLAIで多かった。生後1年、3年、5年の無不整脈生存率はRAIで81.5%、67.8%、66.2%で、LAIで81.9%、58.7%、49.8%であった。RAIでは除脈7例、頻脈29例(内重複4例)、LAIでは除脈23例、頻脈3例(内重複1例)であった。LAIの不整脈は洞不全 19/26(73.1%)、AVB 6/26(23.1%)で、内14/26(53.8%)がPM治療例であった。性別、心房位、単心室循環の有無、手術回数、TAPVC修復や房室弁の手術の有無、不整脈発症時または最終フォロー時の中等度以上の房室弁逆流の有無と不整脈の関連について単変量解析で検討し、LAI[OR 2.138(CI 1.085-4.212); p=0.028]、二心室循環[OR 3.63(CI 1.436-9.178)); p=0.006]、手術回数[OR 0.758(CI 0.579-0.993); p=0.045]で有意差が得られた。なお、多変量解析では有意差はなかった。 【結論】内臓錯位症候群における不整脈発生率は40%近くと高かった。 左側相同では5歳時で約50%に認め、全体の30%近くがPM治療を要しており、右側相同と比較し不整脈発生リスクが2倍と考えられた。