[II-OR24-03] 機能的単心室症例における洞機能および不整脈発症リスク
Keywords:フォンタン循環, 洞不全症候群, 洞結節回復時間
【背景】洞機能不全は心房細動およびその他全身合併症との関連が指摘されている1).フォンタン循環患者における心房性不整脈は全身合併症および死亡との関連性が示唆されているが2),洞機能そのものについて調べた報告は少ない.【対象および方法】過去20年間(1998~2017)に当院で両方向性グレン手術(BCPS: bidirectional cavo-pulmonary shunt)を経てフォンタン手術(TCPC: total cavo-pulmonary connection)に到達した機能的単心室症例77例をデータベースから抽出した.BCPSおよびTCPC前後で心臓カテーテル検査を行い,修正洞結節回復時間(CSNRT:洞結節回復時間-洞周期)を求めた.このうちデータ不備のない35例(女児19例,TCPC実施月齢41±11か月,無脾症候群5例,多脾症候群3例)を対象とした.【結果】1)BCPS前,2)BCPS後,3)TCPC後におけるCSNRTおよび心拍数はそれぞれ1)96±65msec,118±11/分,2)96±140msec,106±11/分,3)138±73msec,92±19/分であった.TCPC手術前後(2および3)でCSNRTが有意に延長した(p = 0.005).TCPC術後5年まで追跡し得た14例における検討では,TCPC術後5年のCSNRTに有意な変化はみとめなかった.また12例(34%)が観察期間中に何らかの不整脈を発症した(上室性頻拍5例,洞不全症候群5例,房室接合部調律2例).不整脈発症群および非発症群間でTCPC術後におけるCSNRTに有意差をみとめた(195msec. vs. 125msec. p = 0.013).【考察】TCPC特有の血行動態変化は術後比較的短期間で洞機能を低下させ,不整脈発症のリスク因子となる可能性が示唆された.