[II-OR25-01] 単心室修復を要する21 trisomy症例の予後の検討
Keywords:21 trisomy, Fontan, 予後
【緒言】単心室修復を要する21 trisomy症例の予後については依然として不明な点が多い。【対象と方法】当院で2005年から2016年に手術を行った21 trisomy症例のうち、心血管の構造的に二心室修復が不可能と判断された症例を対象とし、診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】症例は21例(男性15例、女性6例)で、主要診断は完全房室中隔欠損症が13例(61.9%)と最も多く、左室が主心室の症例が16例(76.2%)だった。初回手術施行時の月齢は中央値1.0ヵ月(生後2日~3.3ヵ月)で、初回手術は肺動脈絞扼術8例、systemic-pulmonary shunt6例、大動脈弓修復術5例、Starnes手術2例だった。初回手術後の治療転帰は、在院死亡2例、退院後死亡1例、転帰不明1例、術後グレン手術施行16例、術後グレン手術未施行生存1例だった。グレン手術を行った16例(全症例の76.2%)の手術時年齢は中央値2.1歳(1.0~6.3歳)だった。グレン手術後の治療転帰は、在院死亡0例、退院後死亡1例(take down症例)、術後Fontan手術施行13例、術後Fontan手術未施行生存2例だった。Fontan手術例(13例)の手術時年齢は中央値4.4歳(2.5~12.7歳)で、10例(76.9%)にfenestrationを作成していた。Fontan手術後急性期では、8例(61.5%)にNOを使用し、4例(30.8%)は静脈内血栓のため再手術が行われていた。術後転帰は、在院死亡2例、転帰不明1例、生存退院10例(全症例の47.6%)だった。退院後の死亡は認めなかったが、1例で蛋白漏出性胃腸症の合併を認めた。全経過を通じての死亡は6例(28.6%)で、男性(5/13例、38.5%)、大動脈弁・弁下狭窄例(3/5例、60.0%)、生後2週以内の初回手術例(3/6例、50.0%)では死亡率が高かった。【結論】二心室修復が困難な21 trisomyおけるFontan到達率は良好とはいえずFontan術後急性期管理も難渋する症例が多い。全経過を通じて、男性、左室流出路狭窄例、生後早期の手術症例では死亡率が高い傾向があった。