[II-OR25-04] 乳児期早期までに手術介入を行った、肺動脈弁欠損を伴うFallot四徴症8例の検討
キーワード:Fallot四徴症, 肺動脈弁欠損, 右室流出路形成術
【背景】肺動脈弁欠損を伴うFallot四徴症(TOF/APV)は、著明に拡張した肺動脈による気道の圧排、呼吸不全が問題となる稀な疾患であり、手術介入の時期や予後も圧迫部位や程度より大きく異なってくる。【目的】TOF/APV重症例の、術後急性期および遠隔期予後について検討する。【方法】1997~2017年までに、呼吸不全のため乳児期早期までに手術介入を要したTOF/APV8例において、術前の挿管期間、手術時の日齢,体重、術式、抜管までに要した日数、急性期および遠隔期予後を後方視的に検討した。【結果】挿管後から手術までの日数は中央値で15日(0-68日)、手術は日齢中央値83.8日(10-157日)に施行され、手術体重は中央値3.9kg(2.0-6.2kg)であった。8例中2例で姑息的右室流出路形成術、6例で一期的右室流出路形成術、また全症例で肺動脈縫縮,形成術を施行され、術後抜管までの日数は中央値23.3日(3-26日)であった。死亡例は1例(12.5%)で、初回手術後の8ヶ月後に呼吸状態の悪化を認め、気管外ステント留置を行うもその4日後に死亡した。その他3例で肺動脈再形成術、右室流出路再形成術を施行、1例で気管切開術を行ったが現在も生存している。【考察/結論】一般的に乳児期早期に呼吸不全を呈するTOF/APV例は予後不良とされているが、当院での死亡例に関しても気管軟化症,臍帯ヘルニアなどの合併症例であり、当院での術後急性期,遠隔期予後は比較的良好であった。また一期的根治術選択例においても姑息術選択例と比べ予後を増悪させることは無く、呼吸状態増悪を認める症例では速やかに手術介入を行い、挿管期間の短縮、呼吸状態の改善を図ることが可能である。