[II-OR25-05] 両側肺動脈絞扼術後の狭窄後肺動脈拡張の検討
Keywords:両側肺動脈絞扼術, 狭窄後肺動脈拡張, 肺出血
【背景】近年、first palliationとしての両側肺動脈絞扼術(bPAB)施行例が増加している。それらの症例の中で絞扼部より末梢の肺動脈が拡張している症例が散見される。【目的】bPAB後の狭窄後肺動脈拡張をきたす症例の特徴を明らかにすること。【方法】対象は当院でbPABを施行した症例で、肺動脈形成術(PAP)を施行するまでにCTまたはカテーテル検査で肺動脈の評価ができた20例。拡張群(D群)と非拡張群(N群)に分けて診療録より後方視的に検討する。拡張を末梢肺動脈がPAB近位部肺動脈の1.5倍以上又は末梢肺動脈分枝がPAB近位部肺動脈の1.0倍以上と定義する。【結果】D群、N群はそれぞれ10例ずつ。D群:N群の順で症例数又は平均値を記載し、P値記載なしは有意差なし。男性4:4、在胎週数36週6.6日:40週1.1日(p<0.05)、出生体重(g)2044:3145(p<0.01)、出生体重標準偏差-1.70:0.11(p<0.01)、N2使用6:7、単心室血行動態2:7(p<0.05)、systemic disease合併4:0(p<0.01)、banding素材(metal clip)3:2、手術時日齢5.8:6.8、評価時術後日数161.5:43.3(p<0.01)。D群3例でPAP前にPABに対するPTAを試み、2例で施行、1例でwire操作による肺出血のため断念した。【考察】肺血管の未熟性やsystemic diseaseに伴う脆弱性がある状態で、banding後の血流の乱流に長期間曝される事により、より一層肺動脈が拡張すると考えられる。【結語】低出生体重児、早産児、small for date児、二心室を有する症例、systemic disease合併例、bPABより長期間経過している症例はbPAB後の狭窄後肺動脈拡張をきたしやすい。また、拡張による肺動脈の脆弱性に留意する必要である。