[II-OR27-01] 川崎病罹患後100日未満の冠動脈瘤径と遠隔期冠動脈障害残存との関連
Keywords:冠動脈瘤, 冠動脈障害, 川崎病
川崎病(KD)による冠動脈炎は冠動脈瘤 (CAA)をきたしうるが、その瘤径は冠動脈壁障害の程度を反映すると推定される。KD罹患後100日未満のCAA径とKD罹患後1年以上の遠隔期冠動脈障害 (CAL)残存との関連について検討した。(方法)1978年から2011年までにKD罹患後100日未満に選択的冠動脈造影(CAG)を施行し、CAAと診断された214例(男160 女54)において、遠隔期CAGのCALについてみた。CAAのあった右冠動脈、左前下行枝、左回旋枝のBranch群と左冠動脈分岐部に限局した瘤 (LCA群)に分けて検討した。初回CAGにおいて各枝の最大CAAの最大径を測定した。遠隔期CALは、退縮(R)、拡大性病変(D)、狭窄性病変 (S)の3群に分類した。Sは、25%以上の局所性狭窄、閉塞、セグメント狭窄とし、DはRとSに該当しない拡大とCAA残存と定義した。KD罹患年齢は中央値23か月(2か月~13歳)、初回CAG施行は中央値59日、遠隔期CAGは中央値8年(最大値32年)であった。Branch群ついて遠隔期CAL3群における初回CAG径について、初回CAG時のBSA<0.50とBSA≧0.50と分けて検討した。LCA群についてはRとD+S群の2群について初回CAG径を比較した。検定はt検定、または一元配置後Tukey検定を用い、p<0.05を有意差ありとした。(結果)Branch群(BSA<0.50) の各CAL群の最大CAA径 (mm) はそれぞれR 5.1±1.6 (n=79) D 6.9±2.6 (n=36) S 9.8±3.6 (n=60)、BSA≧0.50では R 6.5±2.5 (n=95) D 9.0±3.1 (n=58) S 12.3±3.3 (n=64) (p<0.0001)と各CAL群間で有意差があった。LCA群では、R 5.1±1.8 (n=54) D+S 7.3±1.7 (n=15) (p<0.001)の2群間で有意差がみられた。(結語)KD罹患後100日未満の最大CAA径の程度は遠隔期のCALを決定する因子である。約5mm以下の瘤は大部分が退縮し、5mmをこえると拡大性病変や狭窄性病変として1年以上の遠隔期にもCALとして残存しうる。