The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演27(II-OR27)
川崎病・冠動脈・血管 3

Fri. Jul 6, 2018 8:40 AM - 9:45 AM 第6会場 (411+412)

座長:西山 光則(恵愛病院 小児科)
座長:渡部 誠一(土浦協同病院 小児科)

[II-OR27-03] 運動時の胸痛で発見された小児期発症冠動脈攣縮性狭心症の2例

高梨 学, 齋木 宏文, 桑田 聖子, 北川 篤史, 木村 純人, 菅本 健司, 先崎 秀明, 石井 正浩 (北里大学 医学部 小児科)

Keywords:coronary spastic angina, coronary endothelial dysfunction, injection of acetylcholine

【背景】冠攣縮性狭心症は、冠攣縮により生じる狭心症であり、小児期発症は極めて稀とされている。【症例】症例1:生来健康な8歳男児。サッカーの練習中に10分程持続する胸痛を認めた。胸痛は自然軽快するも、トロポニンTが陽性であり、虚血性心疾患が疑われた。心電図、運動負荷心電図、CTA、心筋血流シンチなどを施行するも有意な所見は得られなかった。冠動脈造影にて器質的狭窄病変を認めなかったが、アセチルコリン(ACh)負荷で、右冠動脈と左前下行枝と左回旋枝が収縮し、また硝酸イソソルビド(ISDN)負荷で拡張した。症例2:生来健康な14歳男児。サッカーの練習中に失神歴があるが、すぐに改善したため、経過をみていた。その後も、動悸を訴えるようになり、精査を行った。心臓超音波、運動負荷心電図、CTAで異常を認めなかったが、トロポニンTが弱陽性であり、虚血性心疾患が疑われた。冠動脈造影にて器質的狭窄病変は認めなかったが、冠動脈がACh負荷で収縮し、ISDN負荷で拡張する所見を得た。【考察】2症例の胸痛は、以上の所見より、冠動脈の攣縮により誘発された可能性が高く、冠攣縮性狭心症と診断した。川崎病以外で小児期発症の冠動脈血管内皮障害は極めて稀であり、小児期の胸痛は心原性以外のことが多く、早期診断が困難なことがある。しかし、冠攣縮性狭心症は冠動脈の攣縮により突然死を起こすこともあり、冠動脈造影で器質的狭窄病変を認めない場合でも、虚血性心疾患が疑われる場合には冠攣縮薬物誘発試験を考慮することが重要であると考えられた。【結語】運動時の胸痛で発見された冠攣縮性狭心症の2例を経験した。現在、カルシウム拮抗薬の内服にて運動制限は行わず、外来で経過観察中である。