The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演27(II-OR27)
川崎病・冠動脈・血管 3

Fri. Jul 6, 2018 8:40 AM - 9:45 AM 第6会場 (411+412)

座長:西山 光則(恵愛病院 小児科)
座長:渡部 誠一(土浦協同病院 小児科)

[II-OR27-05] 動脈スイッチ手術における冠動脈壁内走行に関する検討

卯田 昌代, 青木 満, 萩野 生男, 梅津 健太郎, 齋藤 友宏, 小林 慶 (千葉県こども病院 心臓血管外科)

Keywords:冠動脈壁内走行, 動脈スイッチ手術, TGA

【目的】完全大血管転位症(TGA)や大血管転位型両大血管右室起始症(TGA-DORV)に対する動脈スイッチ術(ASO)において,移植冠動脈の屈曲,急性冠血流障害のリスクとなりうる冠動壁内走行の診断,対処の問題点を検討する.【対象】当院で2003年1月より2017年12月までにTGAもしくはTGA-DORVに対してASOを行った64例.【方法】術前診断,術中所見,術式,臨床経過,術後の心機能,心電図変化と,冠動脈壁内走行の関連を後方視的に検討した.【結果】手術時の日齢,体重の中央値は12,3.0kg,TGA I型42例,TGA II型12例,TGA-DORV10例で,CoAの合併を8例に認めた.術後30日以内の死亡は2例(3.1%).対象例中,冠動脈壁内走行を認めたのは4例(6.3%)で,手術時日齢平均9,平均体重3.2kg,TGA I型3例(症例A-C),Taussig- Bing CoA(症例D)1例であった.冠動脈起始分類はShaher 5a 型3例(症例A-B,D),Shaher 1型 1例(交連上起始,症例C)であった. 壁内走行の術前診断はエコーで1例(症例A),造影CTで1例(症例D)疑われていた.他の2例はエコー, Laid Back造影からも診断不能であった.術中,Shaher 5a の3例は左冠動脈,Shaher 1の1例は両側冠動脈の壁内走行が見られた.冠動脈再建法は全症例Mee法でおこなった.冠動脈壁内走行部分の長さには症例間に差異があり、症例Bで最も長く術中人工心肺離脱困難となりCut Back追加を要した.全例術後急性期を耐術したが,症例Bは術後36日目に新生児病棟にて突然の心電図ST変化から心室細動となり死亡した.他の症例は遠隔生存が得られ,カテーテル検査あるいは造影CT上有意な冠動脈狭窄所見を認めていない.心電図,心機能に関しては生存した症例では差はなかった.【考察】冠動脈壁内走行はShaher分類5a型に多いが,他の型にも起こることがあり,術前診断が困難な場合もあった。また壁内走行部分の距離には症例差があり,壁内走行部の距離が長い症例ではリスクが高く注意が必要であると考えられた.