[II-OR27-07] 川崎病による無症候性冠動脈閉塞をもつ患者における心臓MR遅延造影を用いた左心機能の評価
Keywords:川崎病冠動脈障害, 心臓MRガドリニウム遅延造影, 左心室駆出率
目的:無症候性冠動脈閉塞をもつ患者の左心機能について検討した。対象と方法:2012年から17年までに川崎病による冠動脈障害をもつ65例(男49、女16)に心臓MR検査を施行した。心臓MR施行時の年齢は5から47歳(中央値29歳)であった。Siemens社製Sonata 1.5Tを用い心臓MRを施行し、遅延造影(LGE)の深達度、左室拡張容積係数(LVEDVI)、左室駆出率(LVEF)の3項目を3D医用画像処理Ziostation2により解析した。LGEの深達度は、0 (なし)、I (25%未満)、II(25以上50%未満)、III(50%以上)に分類した。選択的冠動脈造影で診断された無症候性の冠動脈閉塞とセグメント狭窄を有する患者をCO群とした。CO群(n=34)、冠動脈閉塞がない群(non-CO)(n=15)、心筋梗塞群(MI)(n=16)の3群間において、LGEの深達度、LVEDVI、LVEFについて、Tukeyの検定を用いて比較検討し、p<0.05を有意とした。結果: LGE深達度II度は、CO群13例(38%)、 MI群2例(13%) (p<0.001)、LGE深達度III度はCO群1例(3%), MI群 12例(75%)(p<0.001)であった。CO群ではII度が、MI群ではIII度が多く、non-CO群ではII度以上はみられなった。LEDVI(ml/m2)は、CO群82.2±18.3, non-CO群79.2±2.5、MI群130.3±6.7 (p<0.001)で、LVEF(%)は、CO群50.5±4.8, non-CO群53.0±5.7 、MI群33.6±10.8 (p<0.001)であった。LVEDVIとLVEFについては、MI群とCO群、non-CO群間に有意差がみられたが、CO群とnon-CO群間では有意差はみられなかった。結語:CO群ではLGEを認める症例もあるが、LGE深達度がIII度までには至らず、左心機能は維持されていた。