[II-OR28-04] ファロー四徴症の右室容量評価における心臓MRI(CMR)と右室造影の比較検討
Keywords:ファロー四徴症, CMR, 右室造影
【背景】Fallot四徴症(TOF)術後症例に対し, CMRによる右室容量評価は再介入適応を検討するうえで重要な検査となっている。従来,右室造影(RVG)が右室容量評価に用いられてきたが,両者の関係性を比較検討した報告は少ない。【目的】CMRとRVGで計測した右室拡張末期容量係数(RVEDVi)及び右室収縮末期容量係数(RVESVi)の関係を明らかにすること。【対象と方法】対象は2009-2017年に当院でCMRとRVGを同時期に行ったTOF術後24例(男17例, 女7例,14.5±5.4歳)。CMRで測定した右室容量とRVGで測定した右室容量とを比較検討した。【結果】RVGとCMRは強い相関関係(RVEDVi; r=0.80, p<0.05, RVESVi; r=0.70, p<0.05)にあったが, RVGはCMRと比べRVEDVi(RVG:98.5±23.2ml/m2,CMR:139.9±44.3ml/m2),RVESVi(RVG:98.5±23.2ml/m2,CMR:73.5±30.2ml/m2)の両者において過小評価する傾向であった(p<0.05)。また,CMRで測定したRVEDViが120 ml/m2未満の群(A群,n=10)と120 ml/m2以上の群(B群,n=14)とに分け,CMRとRVGとの相対誤差で比較したところ, B群で有意に誤差が大きかった(A群:17.3±14.9%,B群:33.7±10.5%,p<0.05)。RVEDViが150 ml/m2を上回る症例でCMRとRVGとを比較したところ,RVGの感度は33.3%, 特異度は86.7%だった。【考察】RVGはCMRより右室容量を過小評価するが,右室拡大が進行するとさらに過小評価の傾向が強くなった。TOF術後の再介入適応となる右室拡大症例については,CMRは治療適応をより詳細に検討できるものと思われた。