一般口演29（II-OR29）
心臓血管機能

[II-OR29-02] 小児から若年成人までの1型糖尿病患者のストレインを用いた左室機能解析

^○磯 武史¹, 高橋 健¹, 井福 真由美¹, 矢崎 香奈¹, 矢澤 理絵子¹, 春名 英典¹, 田久保 憲行¹, 池田 富貴², 綿田 裕孝², 清水 俊明¹ (1.順天堂大学 小児科・思春期科, 2.順天堂大学 糖尿病・内分泌内科)

Keywords:1型糖尿病, 左室ストレイン, 左室機能

以前より1型糖尿病患者は2型糖尿病患者と同様に心不全や心血管疾患の発症リスクが経年的に高くなることが知られている。また近年、糖尿病患者において冠動脈疾患や高血圧などの他の心機能を低下させる要因はがないにも関わらず、心機能が低下してくると報告されている。しかしながら、小児から成人に至る心機能の年齢による変化の報告は存在しない。【目的】小児期から若年成人期までの1型糖尿病患者の心機能を、ストレイン解析を用いて検討する。【方法】対象は5歳から33歳の1型糖尿病患者群20例及び年齢と性別を一致させた正常対照群40例とした。それらを15歳未満（1型糖尿病年少群およぼ正常年少群）と15歳以上（1型糖尿病年長群および正常年長群）に分類した。Vivid E9（GE Healthcare, Milwaukee, WI, USA）を用い、傍胸骨短軸像の心基部、乳頭筋部、心尖部レベルのcircumferential strain（CS）を、心尖部四腔断面像よりlongitudinal strain（LS）をspeckle tracking echocardiographyを用いて計測し、比較検討した。【結果】検査時年齢は、1型糖尿病年少群10.2 ± 3.6歳、1型糖尿病年長群23.4 ± 5.7歳、正常年少群10.0 ± 3.0歳、正常年長群24.6 ± 5.2歳であった。全群従来の心機能指標は正常範囲内であり、有意差は認めなかった。ストレインでは、1型糖尿病年長群は正常年長群と比較して心基部CS（-13.5 ± 0.9 vs. -18.7 ± 0.7, p ＜ 0.001）、乳頭筋部CS（-14.6 ± 0.9 vs. -18.0 ± 0.6, p = 0.012）、LS（-15.2 ± -17.8 ± 0.4, p = 0.017）が低下していた。心尖部CSに有意差は認めなかった。【結語】1型糖尿病年長者は多くの部位で正常年長群と比較して収縮能が低下していた。今回の結果は1型糖尿病患者の心機能の経年的悪化の初期を捉えている可能性がある。