[II-PD04-03] 冠動脈閉鎖を伴うPA/VSD hypoRVの一例
Keywords:肺動脈閉鎖, 冠動脈閉鎖, 類洞交通
【背景】PA/IVSはしばしば類洞交通を認め、稀ではあるが順行性の冠血流が認められず冠動脈閉鎖となることがある。今回我々は解剖学上PA/VSDではあるが三尖弁の形態異常のため血行動態はPA/IVS、冠動脈閉鎖と同等である症例を経験し、診断・治療に難渋したので報告する。【症例】胎児診断でTOF/PAの診断。在胎38週4日、2148gで出生。PA /VSD hypoRVの診断でPGを使用しながら待機。日齢29日、心カテーテル検査施行、両心室は等圧、RVは二腔構造であり片方はVSDを介してLVと交通、もう一方は盲端となり類洞交通を認めた。AoGでは冠動脈は造影されず冠動脈閉鎖と診断した。報告では心臓移植を除き、冠動脈閉鎖を伴うPA/IVSでの長期生存例はないが、当院で同疾患に対しAo-RV bypass ,BTSを施行し現在BDGまで生存している症例を経験しており、本症例がその適応となるか慎重に議論した。その時点で治療方針として(1)VSDを閉鎖しAo-RV bypass,BTS(2)BTSのみを施行(3)PDAを開存させながらBDGまで待機 等の治療方針を検討し、冠動脈が起始する腔とVSDの交通があるかどうか確定できず(3)の方針とした。日齢40日頃から徐々に心拡大傾向、心機能の低下を認めBDGまでの待機は困難と判断し、日齢59日でAo-RV bypass,BTSを施行した。人工心肺確立後、RVから心筋保護カニューレを挿入し心筋保護液を注入、問題なく心停止したためVSDは機能的には閉鎖しAo-RV shuntは可能であると判断した。心停止下にAo-RV shuntを3.5mmのgraftで作成、遮断解除後NSRで心拍は再開した。残りは心拍動下にrtBTSを3.5mmで行い、CPB離脱を試みたが低酸素、低心機能のために離脱困難であった。その後心機能戻らず日齢76日で永眠となった。