[II-PD05-01] 他院で修復困難と診断された混合型総肺静脈還流異常症に対する分娩計画と心内修復
Keywords:総肺静脈還流異常症, 肺静脈狭窄, 分娩計画
症例:TAPVR(Ⅰb+Ⅲ)、PVOの男児。32週時に心内構造異常を疑われ、34週時に近隣の小児医療センター産科へ紹介となった。超音波検査で上記診断となり、手術スタンバイ下の帝王切開分娩か、看取りを提案された。35週にセカンドオピニオンで当院を初診した。右肺静脈と左下肺静脈は共通静脈腔を形成し垂直静脈から静脈管合流部で2.5m/secの連続性血流加速を認め、下大静脈から長い経路で還流し、左上肺静脈は上大静脈-無名静脈合流部に還流し、そこで2-2.5m/sec程度の連続性血流加速を認め、いずれも出生後高度狭窄に発展すると判断した。御両親は積極的加療を希望され当院での分娩方針となった。関連部署と連携し、39週2日、誘発による予定経腟分娩により2904gで出生した。NICU入室時のSpO2は62%であり、胸部X線写真では肺鬱血像が明らかで呼吸障害は速やかに進行し、2時間で高度な透過性低下に至った。SpO2は60%を下限に挿管陽圧管理を避け、軽い鎮静下にNPPVと自発呼吸によるauto PEEPを用いた肺血流制御、高用量利尿剤を用いた水分管理を徹底した。腎機能障害は進行したが、管理は奏功し、当初の予定通り複雑な肺静脈走行を評価する目的で日齢1に造影CTを施行した。高度PVOのため更なる待機は肺実質および腎障害を増強するのみと判断し、日齢2に心内修復術を施行した。左下1本と右2本を共通肺静脈腔で左房に吻合し、左上は左心耳に吻合して心房間交通を残して修復を完了した。術後2ヶ月半を経過し、左肺静脈狭窄を認めたものの右肺静脈は狭窄なく良好な発育を維持している。
総括:本症例は早期からの循環・呼吸管理により分娩当日の手術を回避し、必要な情報を得て良好な心内修復を行った。高度PVOを伴うTAPVRは帝王切開分娩・娩出直後手術の対象となりうるが、医療資源の整理と柔軟なサポート体制の確立によって関連部署の専門性を生かし、分娩モードと術前検査の幅を持たせ、治療の質を上げることが可能となる。
総括:本症例は早期からの循環・呼吸管理により分娩当日の手術を回避し、必要な情報を得て良好な心内修復を行った。高度PVOを伴うTAPVRは帝王切開分娩・娩出直後手術の対象となりうるが、医療資源の整理と柔軟なサポート体制の確立によって関連部署の専門性を生かし、分娩モードと術前検査の幅を持たせ、治療の質を上げることが可能となる。