[II-S06-03] Norwood手術における大動脈弓再建術式の標準化の試み
Keywords:ノーウッド手術, 大動脈弓形成, 左心低形成症候群
左心低形成症候群とその類似疾患に対するNorwood手術の成績は近年大きく向上し、安定したものになってきた。しかしながら術後の大動脈弓再狭窄は未だ重要な合併症の一つで、手術成績に大きく影響する。心外血管の解剖学的特徴と位置関係の不均一性からNorwood手術における大動脈弓形成術は症例に応じた術式の選択が必要である。現在、当院ではNorwood手術における大動脈弓形成は自己心膜による扇形パッチ法と自己組織のみによるChimney法の2つを基本術式とし、症例の解剖学的特徴に応じた使い分けを試みている。術式の選択は心エコーと3次元CT画像を基に、診断(大動脈狭窄または閉鎖)、上行大動脈の直径、左右肺動脈分枝の様式、transverse archの直径、動脈管の形態を総合的に考慮し決定する。<適応>大動脈弁閉鎖症、上行大動脈径2.5mm以下、左右肺動脈の分枝様式が平行に近い症例、transverse archの低形成を扇形パッチ法の適応とし、それ以外をChimney法の適応とする。<術式>扇形パッチ法:動脈管組織を十分に切除した後、大動脈弓遠位部大弯側はinterdigitating anastomosisを行う。主肺動脈と上行大動脈を側側吻合し、パッチのデザインは後壁の吻合長×主肺動脈の円周長の扇形とする。Chimney法:動脈管組織を十分に切除した後、左右肺動脈をくり抜きChimneyを作成。大動脈弓遠位部大弯側は同じくinterdigitating anastomosisを行い、大動脈弓は自己組織のみの再建を行う。術後の大動脈弓形態から本戦略の妥当性を検証する