第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長要望演題

会長要望演題03(II-YB03)
HLHSに対する一期手術 ノルウッドかハイブリッドか

2018年7月6日(金) 11:00 〜 11:50 第2会場 (301)

座長:小林 俊樹(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
座長:宮地 鑑(北里大学医学部 心臓血管外科)

[II-YB03-01] 左心低形成症候群に対する第一期手術はノルウッドを選択する:連続142例の経験からの結果と考察

小谷 恭弘1, 黒子 洋介1, 堀尾 直裕1, 川田 幸子1, 小林 泰幸1, 佐野 俊和1, 後藤 拓弥1, 新井 禎彦1, 佐野 俊二2, 笠原 真悟1 (1.岡山大学 心臓血管外科, 2.カリフォルニア大学サンフランシスコ校)

キーワード:左心低形成症候群, ノルウッド手術, 外科成績

【背景】ノルウッド手術の佐野変法や両側肺動脈絞扼術の普及により、左心低形成症候群(HLHS)に対する第一期手術の成績は著明に改善した。当院では、Primary Norwood (P-N)を基本方針としてきた。【対象】1998年よりHLHSおよび関連疾患でNorwood手術を行った連続142例である。当院では、胎児診断の後、母体管理から他科と連携を行う。出生後は集中治療室にて術前の全身管理を行い、肺血流制御に関しては窒素吸入やミルリノンを使用し、それでもコントロール不能な場合は、筋弛緩下での呼吸器管理を行った。当院の以前の検討から死亡のリスクファクターとされた、1) 在胎週数37週未満、2) 体重2.5kg未満、3) 中等度以上の三尖弁閉鎖不全(TR)、に加え4) 脳出血や肝不全など他の臓器不全、を除き基本的にはP-N手術の方針とした。手術は、isolated cerebral perfusion 下に人工物を用いない大動脈再建とRV-PA shuntを使用した。基本的に術直後は開胸管理とし、Delayed sternal closureを行った。術後の管理として近年では、1) カテコラミンの使用を極力避ける、2) 循環動態が破綻する前にECMOの導入を行う、ことに留意した。【結果】全142例中、P-N適応外は39例であった。P-N手術は日齢で中央値9日、体重は中央値2.74kgに103例に施行し10例の早期死亡(9.7%)を認めた。BDG手術はNorwood手術後6.3±2.3ヵ月後に行い、SaO2が75%以下、低肺動脈発育の症例62例(70.3%)にはAdditional flowとしてRV-PA shuntを残存させた。TCPCには現在まで62例に対し年齢30.2±7.6ヶ月で施行した。Kaplan-Meier法による生存率は3ヶ月91%、12ヶ月82%、24ヶ月84%、36ヶ月77%、210ヶ月では75%であった。【まとめ】Norwood-Sano手術を初回手術としたHLHSに対する治療成績は安定していた。術式の改良、周術期管理の向上が重要であると考えられた。