[II-YB04-01] 30代主術者 (principal operator) の育成
Keywords:若手育成, 主術者, カテーテルインターベンション
スポーツの世界では40代を越えて活躍する現役選手はレジェンドと呼ばれる一方,10代の選手の活躍が著しい.その背景には幼少時からの育成が大きな役割を果たしている.心臓外科手術やカテーテルインターベンションの領域において,所属する施設を代表する術者としてデビューするのはどの年代が適切であろうか? 近年の医療訴訟・医療コンフリクト対策の観点からは,30代で主術者として責任を負うのは難しい時代となったかもしれない,また,50代では主術者として後進を指導する立場がよく見られるが,デビューする年代としては遅すぎる感が否めない. 演者は,ちょうど30歳時より縁あって現在所属する施設のインターベンションの主術者をつとめている.以降,10年以上の間に,インターベンションをサブスペシャリティーとする若手医師を5名輩出し,その後4名が海外留学を経験,3名が経皮的心房中隔閉鎖術の認定術者となった.現在は国内の各施設に分散し,30代での主術者をめざして研鑽を続けている.30-40代は体力,気力,集中力,俊敏性など全ての能力において最も充実しかつ伸び盛りの時期と考えられる.現在,JPIC学会におけるデータベース登録施設は全国で100を数えるが,年間のインターベンション施行件数は4300件程度であり,今後集約化も見込まれ,真の主術者になれる数が限られる.この年代で主術者の地位を確立するためには,自己の能力を高めるだけでなく,上司がうまく身をひいて世代交代することも必要となるであろう.30代の主術者育成について実例をもとに議論する.