The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ミニシンポジウム

ミニシンポジウム(III-MIS02)
次世代育成プロジェクト2 日本での次世代育成プラン

Sat. Jul 7, 2018 2:00 PM - 3:00 PM 第2会場 (301)

座長:坂本 喜三郎(静岡県立こども病院 心臓血管外科)
座長:安河内 聰(長野県立こども病院 循環器小児科)

[III-MIS02-04] 次世代の先天性心臓血管外科医の育成

中野 俊秀 (福岡市立こども病院心臓血管外科)

Keywords:次世代育成, 先天性心疾患, 外科医

先天性心臓病は疾患の種類とその病態生理が非常に多彩で、先天性心臓外科医は手術手技のみならず、対象とする全ての疾患の解剖学的特徴と手術方法、さらに周術期管理法を身につける必要がある。独立した先天性心臓血管外科医を育成するためにはしっかりとした計画的なトレーニングシステムが必要であることは誰もが認めるところであるが、現在のところ本邦ではそのようなプログラムがないのが現状であり、早急な対応が求められる。ここでは外科医個人のテクニカルスキルと知識の確立にむけてのトレーニングについての提案を述べる。先天性心臓外科医に求められる技能を以下に列挙する。(1)先天性心疾患の病態、解剖と循環生理の十分な理解。(2)外科医としてのテクニカルスキル:全ての手術手技は基本となる手技の寄せ集めであり、その基本手技のマスターがまず必要である。(3)体外循環の方法論の理解と術中のコントロール。(4)手術室でのチームリーダーとしての自覚とコミュニケーション能力。(5)疾患と手術の内容による術前、術中管理、術後管理。以上のトレーニングを効率よく行うためには、ある程度以上の難易度と症例数が確保できる施設で行われるべきで、また必然とトレーニングの対象者の数も制限される。また、複数年計画で段階的に経験数と難易度を上げていかなければならないが、そのためには現在の若手心臓外科医の労働環境の改善も同時に行わなければならない。また九州地区の先天性心疾患外科治療体制の特徴を提示し、今後の我が国での先天性心疾患治療における地域でのシステムのあり方と専門治療施設の必要条件、および集約化の意義についても提言する。