[III-MOR13-01] QT延長症候群疑いの小児における、遺伝子検査提出基準作成の試み
Keywords:QT延長症候群, 遺伝子検査, QTc
【背景】QT延長症候群(LQTS)の遺伝子検査の適応に関し、2011年に欧米の学会からexpert consensus statementが出されているが、小児に当てはめると感度が異常に低くなる。年齢別の基準が必要である。また、運動時や夜間・早朝にQT間隔が延長する症例も少なくなく、これらに関する検査を経ずして遺伝子検査の適応を判断するのは不適切と考えられる(これらの検査はその後に必要となるリスク評価にもつながる)。そこで、遺伝子検査を提出すべき基準の作成を試みた。【方法】control群290例における、安静時の補正QT間隔(QTc。Fridericia法)、運動負荷後の最長QTc、ホルター心電図での最長QTcを抽出した。3歳ごとのグループに分け、それぞれのQTcの第3四分位数から最長値までを1点、最長値から第3四分位数+四分位範囲×1.5までを2点、それ以上を4点とし、3種の心電図検査での点数を合計することとした(最少0点、最高12点)。3種の心電図いずれか1つでもQTcが異常に延長している場合に主に遺伝子検査を提出すべきであるとのコンセプトのもと、LQTS症例(遺伝子検査にて病的な変異が判明。n=35)とcontrol群(n=210)において、scoreが4点(年少のため運動負荷が出来ない場合は3点)以上となるか否かを検討した。【結果】scoreが4点(年少は3点)以上になったのはLQTS群で32例、control群で5例であった。感度0.91、特異度0.98、陽性的中率0.86、陰性的中率0.99であった。なお、前記の2011年の基準では感度は0.09(Class2b適応では0.31)であった。【考察】症状や家族歴が有る場合は遺伝子検査をより積極的に提出するのは当然として、それらがない場合を主に念頭に検査適応の試案を作成した。更なる症例の蓄積が必要である。