[III-MOR14-02] 冠動脈病変合併リスクの高い川崎病患者に対する投与期間を短縮した免疫グロブリン・プレドニゾロン初期併用療法:多施設共同ランダム化比較試験による検証
Keywords:川崎病, ステロイド, 冠動脈病変
【背景】冠動脈病変合併リスクの高い川崎病患者において免疫グロブリン(IVIG)・プレドニゾロン初期併用療法の有用性がRAISE studyにて報告されているが、ステロイドの減量にかかる時間のため、治療期間が長くなる傾向がある。そこで、今回ステロイドの減量を早めたプロトコールでの有用性を検証するために多施設共同ランダム化比較試験を行った。【方法】対象は2012年8月から2017年8月に本研究参加13施設において、同意を得て試験に参加した小林スコア4点以上の川崎病患者。初期治療としてIVIG単独治療群(G群)とIVIG・プレドニゾロン併用群(P群)に割付けた。IVIGは2g/kg単回投与、P群で併用するプレドニゾロンは2mg/kg/日から投与を始め、CRP 1.0mg/dL以下になった日を1日目として、4-6日目は1mg/kg/日、7-9日目は0.5mg/kg/日、10日目で中止とした。冠動脈病変の有無、治療抵抗例の頻度などについて2群間で比較した。【結果】予定登録数を240に設定したが、試験期間中の登録は91例であった(G群45、P群46)。登録時月齢はG群37か月、P群34か月(中央値、NS)、治療前リスクスコアはG群6、P群6(中央値、NS)、治療開始病日はG群4、P群4(中央値、NS)であった。冠動脈病変は試験期間内はG群3例、P群2例(NS)、治療後4週でG群3例、P群0例(NS)、初期治療不応はG群17、P群7(P<0.05)、再燃はG群9、P群6(NS)に認められ、追加治療はG群19、P群7(P<0.01)で要した。【結論】本研究においては、ステロイドの減量を早めたIVIG・プレドニゾロン初期併用療法はIVIG単独療法と比較して、再燃及び冠動脈病変の発生頻度には差がなかったが、初期治療不応と追加治療が必要な症例は少なかった。登録症例数が目標症例数に達しなかったため、統計学的パワーが低いことは留意する必要がある。