The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ミニオーラルセッション

川崎病・冠動脈・血管

ミニオーラルセッション14(III-MOR14)
川崎病・冠動脈・血管 1

Sat. Jul 7, 2018 1:00 PM - 1:35 PM ミニオーラル 第1会場 (311)

座長:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院 小児科)

[III-MOR14-04] 胸腹部大動脈瘤破裂を合併したShprintzen-Goldberg 症候群の1例

水野 風音1,2, 前田 潤2, 多喜 萌2, 安原 潤2, 荒木 耕生2, 福島 裕之2, 山岸 敬幸2 (1.東京歯科大学 市川総合病院 小児科, 2.慶応義塾大学 医学部 小児科)

Keywords:Shprintzen-Goldberg 症候群, Marfan類縁疾患, 胸腹部大動脈瘤破裂

【背景】
Shprintzen-Goldberg 症候群(SGS)は頭蓋骨早期癒合症を特徴とするMarfan類縁結合組織疾患で、Marfan症候群(MFS)同様、大動脈基部拡張(ARE)、僧帽弁逸脱(MVP)などの心大血管病変を呈するが、MFSと比して重症度は低いと報告されている。今回、私たちは、大動脈弁閉鎖不全(AR)弁置換術後に胸腹部大動脈瘤破裂を合併したSGS症例を経験した。
【症例】
19歳男性。頭蓋骨早期癒合症、MFS様の骨格症状、ARE、MVPあり、臨床症状からSGSと診断した。FBN1遺伝子エクソン29のミスセンス変異(c.3662G>A)が検出され、遺伝子型はMFSであった。
4歳時、AAE、MRを指摘された。
12歳時、AAEが進行し、新たにARを合併したため、アンギオテンシン受容体拮抗薬内服を開始されたが、15歳時に自己中止し、通院も途切れていた。
16歳時、AR増悪による急性心不全を発症、心機能がBentall手術には耐えられないと判断し、緊急大動脈弁置換術が行われた。術後、心機能は徐々に改善した。
18歳時、さらにAAEが進行し、Bentall手術を予定した。無症状だったが、術前のCTで胸腹移行部大動脈に径58mmの解離性大動脈瘤を新たに指摘された。手術準備中の約2か月後、強い腹痛を訴えた。CT上、大動脈瘤径は65mmまで拡大し、胸腹部大動脈瘤切迫破裂と診断され、緊急人工血管置換術が行われた。瘤切除検体では大動脈新生内膜の形成を伴う中膜外層解離と新鮮な外膜出血があり、陳旧性解離病変に破裂をきたしたと思われた。
【考察】
SGSの一部に、MFSと心大血管表現型および遺伝子型がオーバーラップする症例があることが示唆された。MFSと同様に、大動脈基部、上行大動脈のみならず、下行大動脈の瘤形成・破裂を合併する可能性があり、定期的な造影CTによる大動脈全体の画像評価が必要と考えられた。