[III-MOR15-01] 先天性心疾患術後における多断面マイクロ経食道エコープローブを用いた経食道心エコー検査の有用性についての検討
Keywords:経食道エコー, 術後評価, 乳児
【背景】経食道エコー(TEE)は先天性心疾患(CHD)に対しても有用性が報告されているが、乳幼児では経胸壁エコー(TTE)で良好な画像を得やすく、全身麻酔が必要なこと、利用可能なプローブが限られることから施行されることが少ない。今回本邦でも多断面マイクロ経食道エコープローブ(mTEE)が利用可能となった。【目的】mTEEのCHDの術後評価における有用性を検討する事。【方法】対象は2017年10月～2018年1月にmTEEを使用して術直後にTEEを施行した3歳以下の12例(男4例、0.9±1.0歳)。使用機材はEPIQ 7とTTEプローブS8-3/X5-1、TEEプローブS8-3t(Philips社製)。全例術後ICU入室時の人工呼吸管理中にTTEとTEEを施行した。検討項目は体重、術式、合併症、画像。画像は、短軸像(SAX)、四腔像(4CV)、長軸像(LAX)、房室弁カラードプラ(CD)について診断不可:1、診断できるが不良:2、良好:3にスコア化して評価した他、一方のみで評価できた部位を調査した。【結果】体重6.5±3.0kg(最低2.9kg)、術式はVSD心内修復術6例、Fontan術2例、Glenn術2例、その他2例であった。TEE施行時に挿入困難や出血等の合併症は無く、経皮的酸素飽和度、血圧、心拍数の変動は一過性であった。画像スコアはTEEがSAX:2.0±0.0点、4CV:1.9±0.3点、LAX:2.3±0.5点、CD:2.7±0.5点、TTEがSAX:1.9±0.5点、4CV:2.3±0.6点、LAX:2.1±0.6点、CD:2.4±0.7点で2群間に有意差はなかった。TEEでのみ評価できた部位は4例にあり、心外導管や弁逆流の他、2例でTTEでは描出不可能であった基本断面が描出できた。この2例は正中創下にGORETEXシートが敷かれていた。一方TTEのみで評価できた部位があったのは1例でSAXであったが、TEEの技術的な問題が原因と考えられた。【考察】乳幼児に対するmTEEを使用した術後評価は適切な麻酔管理下で安全に施行でき、特に術直後にTTEでの評価が難しい正中創下にGORETEXシートを敷いた症例や心外導管等の評価に有用であった。