第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ミニオーラルセッション

一般心臓病学

ミニオーラルセッション16(III-MOR16)
一般心臓病学

2018年7月7日(土) 13:00 〜 13:35 ミニオーラル 第2会場 (312)

座長:鎌田 政博(広島市立広島市民病院 循環器小児科)

[III-MOR16-02] 非侵襲的肺動脈圧推測法と侵襲的肺動脈圧測定法との誤差に関する検討

山田 俊介1, 岡崎 三枝子2, 豊野 学朋1 (1.秋田大学 医学部 小児科, 2.秋田大学 医学部 循環型医療教育システム学講座)

キーワード:肺動脈圧, エコー, 三尖弁逆流

【背景】三尖弁逆流シグナルによる非侵襲的肺動脈収縮期圧推測値 (N-PASP) は広く用いられ, 侵襲的肺動脈収縮期圧測定値 (I-PASP) と理想直線に近似した相関を取るとされている.
【目的】N-PASPとI-PASPの誤差を小児先天性心疾患例において検討する.
【方法】前方視的にエコー検査と右心カテーテル検査とを同時に施行した29例を対象とした. N-PASPは連続波ドプラ (CW) 法で, I-PASPは液体充填カテーテル法で求めた.
【結果】対象の概要は, 年齢0.2-13歳 (中央値1.0), 女55%, 体表面積0.25-1.68m2 (中央値0.37) であった. N-PASPは15-93mmHg (中央値45), I-PASPは23-72mmHg (同54mmg) であった. N-PASPとI-PASPの誤差 (N-PASP-I-PASP) と相対誤差はそれぞれ-39-25mmHg (中央値-5), -76-67% (同-5) であった. N-PASPとI-PASPとの線形回帰分析で両者は良好な相関を示した (p<0.001, r2=0.60) が, N-PASPは低肺動脈圧状態で過大評価傾向を, 高肺動脈圧状態で過小傾向を示した (y=0.61x+20). Bland-Altman分析でPASPとI-PASPの平均と両者の差は弱い比例的一致関係を示した(p=0.06, r2=0.13). N-PASPとI-PASPでの非線形回帰では累乗曲線が最も良好な相関を示した (p<0.001, r2=0.68, y=0.46x0.62)
【結論】様々な肺動脈圧を示す小児先天性心疾患例においてN-PASPはI-PASPと誤差を有することが示唆された.