[III-MOR16-05] 鎖骨下動脈起始異常の外科的治療介入の検討
キーワード:鎖骨下動脈起始異常, 嚥下障害, 食道狭窄
(はじめに)鎖骨下動脈起始異常は大動脈弓分枝の異常で、大動脈背側からの圧迫により気管狭窄または食道狭窄による嚥下障害として症状が出現する。起始部が瘤状に拡大したものはKommerel憩室と呼ばれ破裂のリスクがあることから、成人では手術適応であるが小児期では症状が出現しない場合は放置されることがある。(方法)当院で2006年から2017年鎖骨下起始異常と診断され治療を考慮された43例について検討した。(結果)ARSCA39例、ALSCA4例、心内奇形合併の内訳はVSD17例、AVSD6例、PDA4例、ASD4例、truncus3例、TGA1例、DORV1例、IAA1例、CoA2例、血管輪2例、UVH1例であった。21trisomyは16例で37%を占めた。2007年以前の13例中9例は結紮術(開心術後遠隔期での治療は3例)、4例は放置した。結紮術のみ行った症例のうち2例で学童期に固形物の嚥下障害が出現している。2008年以降の30例中27例(90%)は介入(24例は離断再建術、3例は結紮)し、3例は放置した。近年では開心術時にほぼ全例で離断再建術を行っている。固形物の摂食以前の無症状、年少児での再建ではあるが、成長後も吻合部狭窄等の合併症は出現していない。(まとめ)鎖骨起始異常は結紮のみではなく離断再建を行うことは有用であり、結紮術の場合でも嚥下障害の症状が出現するため、引き続き経過観察が必要である。