[III-MOR17-02] 川崎病による巨大冠動脈瘤合併例の検討
Keywords:川崎病性冠動脈瘤, 超巨大冠動脈瘤, 川崎病遠隔期
【背景】川崎病の治療が確立し、ガンマグロブリン大量療法の他、ステロイドやインフリキシマブ、シクロスポリン等の有効利用によって川崎病性の巨大冠動脈瘤(GCAL)の頻度は減少しているものの、近年においても報告は絶えない。遠隔期において8mm以上の巨大冠動脈瘤は0.2%に合併するとされており、狭窄性病変から心筋梗塞を合併するため、冠動脈造影を始め運動負荷心電図や負荷心筋シンチグラムなどで虚血性変化を早期に確認する必要がある。今回GCALを合併した症例の経過について検討した。【症例】当科で過去20年(1997~2017年)に経験したGCAL症例の瘤の経過、内服管理、検査、治療介入の有無等についてまとめた。【結果】症例は10症例、すべて男性で初発年齢は2か月から2歳9か月。観察年数は約2~19年間。AMIによる急性期死亡が1例あった。瘤の最大径は8~10mm未満が3例、10~12mmが3例、14~16mmが3例、30mmが1例で、右冠動脈瘤は3例、左冠動脈瘤は7例。瘤残存5症例、狭窄2例、完全閉塞2例であった。9症例でaspirin、warfarinを内服し3例でcarvedilolを併用していた。冠動脈造影は全例で施行し、発症後2年の症例を除いて、トレッドミル負荷心電図、CTおよび心筋シンチグラムを施行。完全閉塞の2例中の1例のみに虚血性変化と血圧低下による失神を認めた。治療は右冠動脈の狭窄にstent留置が1例でバイパス術例はいなかった。【考察】GCALは、厳重な抗凝固薬等の管理を継続していても、発症後7年以降の4症例で狭窄または完全閉塞が確認された。無症候であっても側副血行路によって補っている可能性もある。【結語】GCALを有する症例は、特に長期にわたり注意深い観察を要し、治療介入の必要性を検討しそのタイミングを逃さないことが重要である。