[III-MOR17-04] 川崎病急性期冠動脈径とOCT(光干渉断層法)による血管壁破壊像との関係
キーワード:川崎病, 川崎病性冠動脈瘤, OCT
【背景】川崎病による全層性の冠動脈炎により血管構造、特に内弾性板の破壊から、中膜平滑筋細胞が内膜に浸潤・形質転換することで、遠隔期に狭窄・閉塞を伴う血管リモデリングをきたす。今回、OCTによる血管構造の破壊所見と急性期の冠動脈径の相関を評価した。【方法】遠隔期にOCTを施行した17症例の、急性期心エコー所見および川崎病発症から6か月以内に施行された冠動脈造影所見(CAG)より、急性期冠動脈径を抽出した。冠動脈は、RCA(Seg1,2,3,4)、LCA (Seg.5,6,7,8,11)の9セグメントに分割、各部位で血管壁3層構造破壊の有無と冠動脈径との相関を調べた。【結果】心エコーでは46セグメント、CAGでは85セグメントで冠動脈径評価が可能で、OCTは25枝で検討しえた。全周性冠動脈3層構造の破壊の有無について、心エコー所見では、あり(n=25, 5.5±2.5mm)/なし(n=21, 2.8±1.0mm) ( p<0.0001)であり、CAGでは、あり(n=23, 5.1±2.3mm)/なし(n=62, 2.3±1.1mm) (p<0.0001)であった。心エコー、CAGどちらか大きい径で検討すると、あり(n=30, 6.0±2.1mm)/なし(n=63, 2.5±1.2mm) (p<0.0001)となった。冠動脈径を正常(<4mm)、中等瘤-1(≧4.0mm, <6.0mm)、中等瘤-2(≧6.0mm, <8.0mm)、巨大瘤(≧8.0mm)と分類したところ、3層構造の破壊は、正常(n=56)0.0%、中等瘤-1(n=24)70.8%、中等瘤-2(n=9)100.0%、巨大瘤(n=4)100.0%となった。【結語】正常血管構造の破壊は川崎病急性期の血管径が4.0mmを超えると起こり始め、6.0mmを超えると全例に起こる。