[III-MOR17-05] 川崎病急性期におけるDWS(Diastolic wall strain)の検討
Keywords:川崎病, DWS, 心機能評価
【背景】川崎病では冠動脈病変(CAL)を後遺症として残すことがあり、IVIG不応例に多いとされているが、反応例にもしばしば認める。また、急性期には弁逆流や心嚢液貯留、心収縮能低下などの心合併症も認める。DWSは心エコーでの心機能評価の1つとして用いられているが、川崎病急性期における報告はない。【目的】川崎病急性期におけるDWSを評価し、IVIG不応やCALを含む心合併症との関連を検討する。【方法】当院にて心エコーを行った心内構造異常や染色体異常を有さない89例から得られたDWS(正常DWS)を基準とし、2017年1月以降で当院にて急性期治療を行った患児を対象に、基準値以下のL群、基準値より大きいH群に分けた。急性期での心エコー所見及びIVIGへの反応性、心合併症(心嚢液貯留、弁逆流、CALを含む)発症との関連性を評価する為にFisherの正確確率検定を行った。【結果】正常DWSの平均値 0.37を基準値とした。対象は32例でL群9例、H群23例。心収縮能の低下は全例で認めなかった。IVIG不応例は5例で、いずれもH群であった。心合併症はL群5例、H群6例の計11例で認め、関連性は有意ではなかった(OR 3.5、95% CI:0.5-23.9)。冠動脈病変はL群1例、H群2例の計3例で認め、同様に関連性は認められなかった(OR 1.8、95% CI:0.1-117.8)。【考察】本検討では、DWSによりIVIG不応を予測することは困難であった。川崎病ではIVIG反応例にもかかわらずCALを発症する例を認め、それらを早期に予測し、治療を強化することが望まれる。その機序としての心筋障害をDWSが反映する可能性を考え、心合併症発症も含め本検討を行ったが、統計学的に証明するに至らなかった。【結論】心合併症例ではDWS低下を来す可能性は考えられ、更なる症例の集積を行う。