[III-MOR18-02] 閉塞性肥大型心筋症およびCrohn病を合併した新規RAF1遺伝子変異陽性のNoonan症候群の1例
キーワード:Noonan Syndrome, RAF1遺伝子, HCM
【背景】Noonan症候群(NS)は特徴的な顔貌、体型、心合併症などを呈する先天奇形症候群である。近年KRAS、SOS1、PTPN11、RAF1が責任遺伝子として明らかになり、それぞれの遺伝子異常で臨床表現型の違いが判明してきている。RAF1遺伝子変異はNS全体の20%と比較的頻度は少ないが、肥大型心筋症(HCM)を高頻度に合併するという臨床的な特徴を持つ。今回我々はRAF1遺伝子変異を伴ったNSに閉塞性肥大型心筋症(HOCM)とCrohn病(CD)を合併した一症例を経験したので報告する。【症例】症例は20歳女性。就学時学校心臓検診でHCMと診断されACE-I、βブロッカー内服を開始したが徐々に労作時呼吸困難が増悪していった(NYHA3)。10歳時に左室流出路狭窄の増悪(LVOT 3.0m/s)を認め閉塞性肥大型心筋症(HOCM)と診断しシベンゾリン内服を開始した。15歳時に下痢、血便が出現し消化管内視鏡検査でCDと診断、メサラジン、アザチオプリンを開始した。現在は就業しながらHOCMとCDの通院治療中である。【考察】心筋症関連遺伝子解析でRAF1遺伝子の新規ミスセンス変異(c.781C>G(p.Pro261Ala))のヘテロ接合体を同定し、特徴的な顔貌、心合併症よりNSと診断した。RAF1遺伝子変異はIL-2受容体の活性化をきたし、CDを含めた複数の自己免疫疾患と関連があるという報告がある。新規変異の本症例も同様にCDを発症しており、緩徐進行性のHOCMと合わせて慎重なフォローが必要である。【結語】今回我々はNSのHOCMフォロー中にCDを発症した一症例を経験した。新規RAF1遺伝子変異陽性のNS症例および合併症について文献的な考察を含め報告する。