[III-MOR18-03] 心臓外病変を有する閉塞性肥大型心筋症類似疾患の3例
キーワード:肥大型心筋症類似疾患, 遺伝子異常, 左室流出路狭窄
【背景】肥大型心筋症類似疾患の予後は様々である。原因不明の症例も多い。心臓外病変が予後を左右する症例も散見されるが、その臨床像は明らかではない。【目的】心臓外病変を有する、閉塞性肥大型心筋症類似疾患の臨床経過/予後を明らかにする。【対象/方法】対象は2015年11月~2017年10月の期間に経験した3例で、診療録を用い後方視的に検討した。【結果/予後】[症例1]心筋肥大/頭蓋縫合早期癒合/両側停留精巣:Noonan症候群疑い;遺伝学的検査未施行。胎児期に不整脈/羊水過多指摘あり。出生後、不整脈の管理に難渋した。心臓超音波検査所見:LVOT 4.2m/sec, 左室大動脈圧較差:71mmHg。ベータ遮断薬内服中。体重増加を待っての心筋切除術施行予定であったが、感染症にて永眠された。[症例2]心筋肥大/高インスリン性低血糖:網羅的遺伝学的検査提出中:低血糖の管理に難渋した。心臓超音波検査所見:LVOT 5.2m/sec, 左室大動脈圧較差:108mmHg。ベータ遮断薬内服中、NT-proBNP 514pg/ml。心不全症状の増悪、BNPなどの上昇を認めれば手術治療介入の方針[症例3]心筋肥大/心室中隔欠損/尿道下裂/二分陰嚢:網羅的遺伝学的検査施行:NAA10遺伝子異常。心臓超音波検査所見:LVOT 4.79m/sec,左室大動脈圧較差:92mmHg,左室右室圧較差:79mmHg。ベータ遮断薬内服中。発達障害を認めているが、現時点では心不全兆候は明らかでは無し。NT-proBNP 108pg/ml。心不全症状の増悪、BNPなどの上昇を認めれば手術治療介入を考慮。【考察】出生時より循環管理に難渋した症例では予後不良であった。循環管理を要さず、外来管理に移行できた症例は外来経過観察を続けられている。【結語】肥大型心筋症類似疾患の予後は循環動態の安定が規定している。