[III-OR30-01] 先天性拡張型心筋症の臨床像と予後予測
キーワード:先天性拡張型心筋症, 胎児診断, 予後予測
【緒言】先天性拡張型心筋症(cDCM)の予後は極めて不良であり、唯一の根治法である心臓移植の適応判断に要する数か月を生存できない症例も多い。我々は自験例より「胎児期の所見から出生後の予後予測ができる」と仮説を立て、多施設共同研究で検証した。また本地域におけるpopulation-based studyも試みた。
【対象・方法】胎児期~新生児期に診断された症例をcDCMと定義した。愛知県・岐阜県の小児心疾患治療が可能な全施設において2008~2017年に診断されたcDCMを診療録から後方視的に検討した。cDCMの原因になりうる心血管構造異常や不整脈を合併した症例は除外した。
【結果】期間内の対象症例は8例(胎児期診断7例、新生児期診断1例)で、出生数から算出すると発症頻度は約1/100,000であった。胎内死亡なし。胎児水腫2例。胎児期診断例の診断時期 在胎31週(26-37)、CTAR 48%(30-58)。出生週数 37週(31-39)、出生体重SD +1.1(-0.4-+3.4)、出生時CTR 71%(66-75)、出生時LVDd 139%ofN(105-246)、出生時LVEF 39.5%(17-46)、心不全症状の出現日齢 8(0-43)。胎児水腫を有した2例は日齢1までに致死的状態に至った。出生後、補助循環を含む積極的内科治療により一時的な心機能改善を得た症例も認められたが、最終的に6例が日齢67(0-92)で死亡または体外式人工心臓装着に至った。CTAR、出生体重SDが心不全発症日齢に有意相関を示したが、生命予後には相関はなかった。cDCMの原因は、抗SS-A抗体1例、抗心筋抗体2例、ミトコンドリア病1例で、特発性3例、精査中1例であった。剖検は1例で施行された。※数値は中央値(範囲)
【考察】本疾患の発症頻度は、心疾患治療可能施設に到達せずして死亡した症例の存在を考慮すると過小評価の可能性がある。本疾患の予後は総じて不良であるが、その中でも胎児エコー所見から出生後経過を予測できる可能性があり、それを意識したうえでの胎児期からの対応を検討する余地はあるかもしれない。
【対象・方法】胎児期~新生児期に診断された症例をcDCMと定義した。愛知県・岐阜県の小児心疾患治療が可能な全施設において2008~2017年に診断されたcDCMを診療録から後方視的に検討した。cDCMの原因になりうる心血管構造異常や不整脈を合併した症例は除外した。
【結果】期間内の対象症例は8例(胎児期診断7例、新生児期診断1例)で、出生数から算出すると発症頻度は約1/100,000であった。胎内死亡なし。胎児水腫2例。胎児期診断例の診断時期 在胎31週(26-37)、CTAR 48%(30-58)。出生週数 37週(31-39)、出生体重SD +1.1(-0.4-+3.4)、出生時CTR 71%(66-75)、出生時LVDd 139%ofN(105-246)、出生時LVEF 39.5%(17-46)、心不全症状の出現日齢 8(0-43)。胎児水腫を有した2例は日齢1までに致死的状態に至った。出生後、補助循環を含む積極的内科治療により一時的な心機能改善を得た症例も認められたが、最終的に6例が日齢67(0-92)で死亡または体外式人工心臓装着に至った。CTAR、出生体重SDが心不全発症日齢に有意相関を示したが、生命予後には相関はなかった。cDCMの原因は、抗SS-A抗体1例、抗心筋抗体2例、ミトコンドリア病1例で、特発性3例、精査中1例であった。剖検は1例で施行された。※数値は中央値(範囲)
【考察】本疾患の発症頻度は、心疾患治療可能施設に到達せずして死亡した症例の存在を考慮すると過小評価の可能性がある。本疾患の予後は総じて不良であるが、その中でも胎児エコー所見から出生後経過を予測できる可能性があり、それを意識したうえでの胎児期からの対応を検討する余地はあるかもしれない。