The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

一般口演31(III-OR31)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 2

Sat. Jul 7, 2018 9:20 AM - 10:20 AM 第3会場 (302)

座長:高橋 信(岩手医科大学循環器医療センター 循環器小児科)
座長:澤田 博文(三重大学医学部医学系研究科 小児科学/麻酔集中治療学)

[III-OR31-05] Eisenmenger症候群成人例の生命予後、罹病率と疾患標的療法の検討

坂崎 尚徳1, 丹羽 公一郎2 (1.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科, 2.聖路加国際病院 心血管センター)

Keywords:Eisenmenger, pulmonary hypertension, WHO function class

【目的】ES多施設共同研究データからClinical worsening(CW)率、その危険因子、Disease targeting therapy(DTT)の効果を調べる。【方法】16歳以上のES症例を対象とし、Primary endpointをCW即ち死亡、移植、心不全・不整脈・全身合併症関連の入院、WHO-function classの悪化のいずれかとした。また、登録時、登録後6ヶ月、12ヶ月毎に入力された臨床検査データおよびDTTを解析した。【結果】登録症例は81例(男26)、登録時年齢の中央値34歳(16-73歳)、後三尖弁短絡疾患が69例、前三尖弁短絡疾患が12例、ダウン症は24例含まれていた。中央値992日(33ヶ月)の経過中に21例がCWを来し、7例が死亡、1例が肺移植に至った。55ヶ月CW回避率は70.7%、55ヶ月全死亡移植回避率は87.2%であった。CW(+)群はCW(-)群と比較して、全身合併症既往、WHO-FCIII以上、胸水貯留例、心嚢液貯留例の頻度が高く、登録時のCTR、BNP平均値が(186pg/dl vs 71, p=0.0046)が高く、6分間歩行距離が有意に短かった。登録時にDTTは55例に行われていたが、24例で新規に開始または強化された。計画的にDTTを開始または強化した11例のうち、2例で心不全の悪化を認めたが、そのうち1例は改善、9例は変化無く安定していた。一方、CW後に開始または強化した13例のうち、8例はCWが改善したがその後1例が再燃し、1例はDTT自己中断し死亡、残る5例のうち3例は改善無く、1例は心不全が悪化して死亡し、最終的に安定している例は7例であった。WHOFC,SPO2、6分間歩行距離は、経時的に有意な変化はなかった。以上より、計画的なDTT開始または強化については臨床的安定が得られており、proactiveなDTTの有効性を支持する結果であった。【結論】約4年で約3割に臨床的悪化を認めるものの、死亡率は約1割に止まっていた。WHO-FCIII以上、BNP高値の予後は不良であった。ProactiveなDTTが予後改善に寄与する可能性はある。