[III-OR33-01] 初期治療として経皮的大動脈弁形成術を選択した大動脈弁狭窄患者の術後経過
Keywords:大動脈弁狭窄, 経皮的大動脈弁形成術, AV plasty
【背景】小児の大動脈弁狭窄(AS)に対する経皮的大動脈弁形成術(BAP)は広く行われているが、直視下の交連切開術に比べ、早期に外科介入が必要となる症例や、遠隔期に大動脈弁閉鎖不全が増悪する症例も報告されている。【目的】当科では大動脈弁逆流がなければBAPを第1選択としているが、術後経過より初期治療としてBAPの有用性を検討する。【対象および方法】1998年から2015年までに当科に入院した大動脈弁狭窄(二心室修復不可能なものを除く)16例(Critical AS6例、Valvular AS10例)。【結果】症例は男児10例、女児6例。BAP後の観察期間は7.0±5.1年。内頚動脈アプローチ11例、大腿動脈アプローチ5例で0.91±0.1(バルーン径/大動脈弁輪径)のバルーンを用いてBAPを施行。圧較差は52.0±17.2mmHgから35.1±12.9mmHgに改善した。直後のARはI度4例、II度3例であった。合併疾患を伴うCritical AS3例のうち、2例は外科介入することなく死亡。1例は追加BAP(7か月)およびRoss-Konno手術(8か月)後死亡した。生存している13例中7例は外科介入なしで経過観察可能で遠隔期のARはI度2例、II度1例だった。残存ASのため6例は外科介入が必要で、4例はAV plastyのみ、2例はAV plasty後もAS(1例はARII度も合併)が残存したため、6歳および7歳時にRoss手術を施行した。遠隔期のARはI度4例、II度1例だった。生存している13例の遠隔期の残存AS圧較差は23.2±12.4mmHgだった。【考察】合併疾患を伴う症例や全身状態不良な症例に対してBAPは低侵襲で治療効果が期待でき、早期の外科介入を回避できる利点がある。また、BAP後遠隔期まで介入することなく経過観察な可能な症例もあり、低侵襲な治療として考慮すべきである。一方、ASが残存し早期より外科介入が必要となる症例やARが出現する症例もある。【結論】ASに対する初期治療は術前状態や弁形態を検討し安全で効果的な治療術式を選択することが重要である。