[III-OR33-02] 離脱した心房中隔欠損閉鎖栓の安全な回収のために
Keywords:心房中隔欠損症, カテーテル治療, 閉鎖栓
【背景】近年、心房中隔欠損(ASD)の多くはカテ治療により閉鎖可能である。しかし脱落・エロージョンの可能性など、デバイス(D)回収が必要になる事態は常に想定しておく必要がある。【目的】効果的かつ安全なASD閉鎖D回収手技を確立する.【対象・方法】D回収経験に体外での実験を加え、1.Dの把持、2.デリバリシース(DS)への引き込みの2点に分けて問題点、解決法につき検討. 【結果】ASDカテ治療316件中、A.離脱後心房中隔位からの回収:2件(ASO19mm 1件, FFII 21mm 1件)、B.D脱落後に回収:1件(ASO30mm)を経験. スネア(ス)を用いて回収した. 1-AスによるD把持は容易.1-B LA内で把持を試みたが、DはMPAまで遊走した.回収時にワイヤ、生検鉗子などでDを把持する、心室内に遊出しないように房室弁にカテを通しておくなどの操作も必要であろう。また、スクリュー部(S部)を手前側に反転させるにはJudkins Rや、ウエッジ用バルーンカテが有用であった。2-A比較的容易にS部にDSを被せることが可能で回収も容易。DがLA,RA/Aoに脱落した場合、S部とDSが平行になるまでRA diskをIVC/下行Ao内に引き込み回収する。2-ASO:S部長3mm+スネア把持部より大きな径を有する11Fr以上のDSが望ましい. それ以下ではDS先端を斜めに切る. DS挿入時、またD引き込み時に先端を傷めない。2-FFII:ボール部は2mm程度で原理的にはASOより回収が容易である. しかし把持したスは外れやすく、ダブル・スよる保持が理想的. ス1本しか使用できない場合、複数回絞め直して絞っておくと外れにくい。【考察】脱落Dの2/3は左房内に脱落する。左室内の脱落Dは僧帽弁を傷害しやすく回収困難である. 右室、肺動脈内での回収もスペースが限られ、三尖弁を傷害する可能性もある. 上記の点に留意しながら、極力Dを心房内で把持、IVC内での収納が重要である。